1.12 『ニッポンチ!』河鍋暁斎のこと。本日「朝日」夕刊に、暁斎「鳥獣戯画 猫又と狸 下絵」の上部3分の1が見つかった、というニュース。暁斎の完成品ではなく下絵。下絵ははり合わせられ、重ねられていて、それがはがれてバラバラになっているそう。整理の作業が続いている。2月7日まで丸の内・東京ステーションギャラリーで公開。
岩波書店の「図書」1月号、星泉「テントを育てる人とともに作る辞書」。昨年3月東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所が上梓した『チベット牧畜文化辞典』を紹介。「チベット牧畜民の言語と文化の全体像に肉薄しようという野心のもとに編んだ」辞典。チベット仏教を読み解くためのいい辞典はあるが、牧畜など生業にかかわる語彙は重視されていない。星は牧畜の暮らしを知らずにチベット文化研究・翻訳をするのは「修行が足りないのではと悶々としていた」。2014年、研究仲間、留学生らと牧畜文化共同研究をスタート。
〈牧畜民はヤク毛のテントに毛織の反物を継ぎ足しながら長く使うことを「テントを育てる」という。そうか、これと同じだ。われわれも時間をかけて辞書を育てていくんだ。〉
WEBで無料公開。書籍版は非売品、研究機関・研究者には送ってくれるそう。
時代小説三冊目。
■ 矢野隆 『とんちき 耕書堂青春譜』 新潮社 1650円+税
江戸、耕書堂・蔦屋重三郎のもとに4人の若者たちが集まる。戯作者・絵師志望、それぞれ個性豊か。自分の才能に気づいていない。ただただ、書きたい、描きたい、悩み苦しみもがく。彼らは長唄師匠の首つり自殺事件に遭遇し、その死に疑問を持つ。そんなこと探索している場合か、けど、かかわらずにはいられない。
(平野)