9.25 図書館、神戸小学校調べ。校歌作曲者直筆の楽譜をコピー。娘に見てもらい、意見拝聴。
図書館で「KOBEの本棚――神戸ふるさと文庫だより――」(A3、二つ折り)いただく。年に数回神戸本新刊と身近な神戸史を紹介する。今回一面は「タイム・ボール――報時球(ほうじきゅう)」のこと。「港務部報時球」、港に停泊する船に時刻を知らせる装置。1903(明治36)年、花隈城跡に建てられた。正午前、鉄塔の上に直径2メートルの赤い球を上げ、正午丁度に落とす。船からそれを見ていて時間を正す。同時に波止場で大砲を鳴らした時期もあったことから、花隈は「ドン山」と呼ばれた。稲垣足穂は鉄塔を「玉つきヤグラ」と回想しているそうだ。竹中郁はスケッチを残している(『私のびっくり箱』神戸新聞出版センター、1985年)。1925(大正14)年、「タイム・ボール」は海岸通の税関・逓信省・水上警察合同ビルに移された。10年ほどで無線報時に切り替わり、役目を終えた。1969(昭和44)年花隈城跡が公園に整備されるまで鉄塔の残骸があった。写真、左が竹中の花隈の絵、右は川西英が描いた海岸通の二代目。
9.27 コロナ対応の緊急事態宣言は月末で解除される模様。個人的には図書館サービスが元に戻ることはありがたい。飲みに行くのは我慢する。コロナが完全に終息したわけではない。
■ 岸本尚毅 『文豪と俳句』 集英社新書 940円+税
明治・大正・昭和の文豪から現役作家まで、俳句から個々の作家に迫る。
幸田露伴、尾崎紅葉、泉鏡花、森鴎外、芥川龍之介、横光利一、宮沢賢治、室生犀星、太宰治、川上弘美、夏目漱石、永井荷風。
〈文豪たちの俳句は、どこか違う。かなり違う。それをさすがと言うべきか、やっぱり変と言うべきか――。〉カバー袖の案内文より。
露伴、漱石、芥川の俳句はよく知られる。多くの作家たちが俳句を愛好している。実生活を詠む句、小説同様幻想的な句、生き様そのものの句、句にそれぞれの個性がしっかり現れる。
小説家の作風が多様なように、俳句も多様。小説作品、日記、評伝などから作家の生き方・考え方に迫り、俳句を読み解く。また俳人の名句と比較する。
著者は1961年生まれの俳人。俳句賞の選考委員、テレビ・新聞で選者を務める。最終章で漱石と荷風の「句合わせ」をする。同じ題でそれぞれの句を選んで勝ち負けを判定する、という鑑賞方法。「自画像」「運命」「悟り」「猫」など11番勝負。硬派の漱石、軟派ながら時勢に迎合しなかった荷風。共通点も多い。江戸の粋、外国生活、語学、大学教師など。「猫」では、荷風は色町の昼あそび。漱石は愛猫の墓標。
〈色町や真昼しづかに猫の恋 荷風〉
〈此の下に稲妻起る宵あらん 漱石〉
(平野)