2022年1月27日木曜日

我が愛する詩人の伝記

1.25 ちょい早いかな、お雛様を飾る。あちこち傷んでいるものの、人形はきれい。

明治の元町学校史から。幼稚園開設をめざす神戸基督教会婦人会が雛人形を製作。会費を出し合い、京都の人形を仕入れ、手作りの着物を着せた。ニューヨークの教会婦人会が販売。「ミカド人形」と好評を得た。婦人会の主要メンバーは旧三田藩子女。先祖伝来の骨董品も寄付して販売。頌栄保姆伝習所・頌栄幼稚園開設の資金になった。

図書館に寄って、買い物に出る。元町駅の「BIG ISSUE」販売員さんと久しぶり、422号と423号。

 


 『写文集 我が愛する詩人の伝記』

室生犀星・文 濱谷浩・写真  中央公論新社 3500円+税

 


 犀星没後60年。1958年に「婦人公論」に連載された犀星「我が愛する詩人の伝記」と濱谷のグラビア「詩のふるさと」。それぞれ同年に単行本化された。今回合本。

 室生犀星、18891962年、金沢生まれ、詩人、小説家。不遇な少年時代を過ごす。文学を志し、20歳で上京。北原白秋に認められて世に出た。本書では詩人・作家らとの親交・友情を振り返り、代表的な詩を紹介する。白秋、高村光太郎、萩原朔太郎、堀辰雄、山村暮鳥、千家元麿ほか12人。逝ってしまった師・友を憶う。

……作家という者はその人の事を書いていなければ会えないものだ。書きさえすればその詩人がすぐ物を言い、笑いかけてくれ、十年も考えなかったことが書いている間にうかんで来るものである。そして作家の友情というものは、最早、本人には知らせることは出来ないにしても、友情の周囲を記述を以ってうるおし、私自身もそれをあたらしく受けとることをお互いに嬉しく思った。〉

 濱谷浩、191599年、東京生まれ、写真家。日本の風土・民俗、世界の自然を撮影。作家・芸術家の写真でも知られる。「詩のふるさと」では詩人たちが詠った自然、歴史、故郷を捉える。

 

 海文堂書店の書皮、1950年代中頃から25年ほど使用したもの。犀星の詩「本」、椅子の上で読む人と帆船のイラスト。制作経緯、デザイナーなど詳細不明。「本」は『第二愛の詩集』(文武堂、1919年)所収。

本をよむならいまだ  

新しい頁をきりはなつとき

紙の花粉は匂ひよく立つ  

その賑やかな新緑まで

ペエジにとぢこめられてゐるやうだ

本は美しい信愛をもつて私を囲んでゐる




(平野)