2022年6月19日日曜日

新編ひたむきな人々

6.18 思い立って大阪梅田。蔦屋書店、きただ店長、みさご人文・きたむら文学両コンシェルジュにご挨拶。本日『本屋という仕事』刊行記念イベント開催だけど、これは不参加、失礼。

 帰宅したら娘から父の日ビール届く。感謝感謝。

6.19 「朝日歌壇」より。

〈二時間目じぶんのせきでこわくないおばけの本をひとりでよんだ (大阪市)おくの花純〉

 なかなか「BIG ISSUE販売員さんに会えない。今日は雑誌と販売道具置いたまま姿が見えない。しばらく待つけど、おひさまギンギン肌を刺す。日影に移る。いつもこんな環境で立ってはるんや。15分ほどして帰ってきはった。無事432433号購入。

 


 『新編 ひたむきな人々――近代小説の情熱家たち――』 外村彰編 

龜鳴屋 2021



 「損得を顧みず生命の高揚感を希求する、さまざまな人々が登場する」小説集。旧版(2009年)を6作品入れ替えて新編刊行。

八木重吉「心よ」 国木田独歩「画の悲み」 夏目漱石「幻影の盾」 永井荷風「ローン河のほとり」 志賀直哉「清兵衛と瓢箪」 森鷗外「安井夫人」 菊池寛「恩讐の彼方に」 芥川龍之介「尾生の信」 宮沢賢治「毒もみのすきな署長さん」他、全19編。

 登場人物たちは、

……おおむね世間と反りのあわない頑迷な人々である。その孤高、専心の世界には、子どもらしい熱中、稚醇の童心を持った個性が多くみられるようである。わが道を極める一徹者、おかしな趣味の道楽者がいれば、何やら業めく隘路を行く後ろ向きの主人公もいる。〉

 友、恋、家族愛、同志愛、技・芸、趣味、任務……、本人たちは純真である。全身全霊をかけ、誇りを持って生きている。理想に向かうこと、道を極めることは勇気がいる、不安も生じる、逃げたいとも思うだろう。他人には頑固、愚直、滑稽に見える。嘲りもあろう。

現実世界の俗物・凡人はマネできないが、羨ましくもある。

 カバー、挿画、グレゴリ青山。扉版画、高橋輝男。

 金沢の出版社、直販のみ。私は古本屋さんで見つけた。

(平野)