2023年1月15日日曜日

一汁一菜でよいと至るまで

1.14 「朝日新聞」阪神淡路大震災特集記事「心のとなりで」。中島俊郎甲南大学名誉教授が精神科医・中井久夫からかけられたことば。「泣きたいときは、涙がかれるまで泣きなさい」。

 


「熱風(ジブリ)」で本屋Title店主・辻山良雄連載開始(不定期)。〈日本の「血の塩」をめぐる旅〉。土地土地の本屋を「血の塩」ととらえ、全国の本屋を訪ねる。

 


 土井善晴 『一汁一菜でよいと至るまで』 新潮新書 820円+税



 テレビでおなじみの料理研究家。家庭料理は一汁一菜でよい、と提唱。具だくさんの味噌汁とご飯、お漬物。味噌があらゆる食材を受け入れてくれる。野菜を中心に残り物のソーセージでも唐揚げでも入れてよい。季節の食材を吟味して、食べやすく調理する。粗食でも節約でも手抜きでもない。忙しくても疲れていても、家族のために少しの時間でできる。余裕があれば肉や魚料理を作ればよい。

 父も著名な料理研究家。土井自身はフランスのレストランと大阪の料亭で修業した。一流の料理人の仕事、心構えを体感してきた土井にとって家庭料理指導は不本意だった。家庭料理が大切と言う父に反感も持った。その土井がどのようにして「一汁一菜」に至ったのか。

 お金を出して食べる料理と家庭料理とは別。「家庭料理は無償の愛の行為」である。食とは栄養を摂ることだけではない。楽しみであり、コミュニケーションであり、自然を見る・知ること。季節ごとに何を食べるべきか、家族の体調は、好みは、と気遣いをし、工夫をする。自分で作る、誰かのために作る、そしておいしく食べる。健康という価値もついてくる。

ヂヂは、食が安定して心身健康であることが平和と自立の第一歩、と思う。

(平野)だいぶ前のこと、土井のテレビ料理番組。魚の煮付けができて、アシスタントのアナウンサーが試食するのに、皮を取り始めた。土井が怒る。「魚っ食いとしてその食べ方は許せない!」。カットせずに放送。