2023年1月7日土曜日

水 本の小説

1.5 「BIG ISSUE446号、特集「お正月に宇宙。私たちは星のかけら」。

 


1.6 「NR出版会新刊重版情報」12月号着。連載「本を届ける仕事」は益子陽介(ブックエース成田赤坂店)。「本屋という仕事を続けるために」。

http://www.nrpp.sakura.ne.jp/top.html

1.7 明日から大相撲初場所。姉孫に番付表コピー送る

 北村薫 『水 本の小説』 新潮社 1750円+税



 PR誌「波」連載、〈本の私小説〉7篇。小説、作品中の一行、著者、音楽、演劇、落語……、ことばが次々つながっていく。謎から謎へ、意外な関係を掘り起こし、寄り道・脇道からいつのまにか元の道に。

 表題作は、金沢出身の三文豪、泉鏡花、徳田秋声、室生犀星の話から。北村は金沢に招かれ徳田秋声生誕150年記念イベントで講演。文学全集の人選・構成から文学史上の秋声を説明。作家仲間の秋声評価、恋愛相手、戸板康二のかるた作り(小説の一節をかるたにする)や江戸川乱歩との共通点に飛びながら、秋声の人物像・作品を紹介する。

〈徳田秋声は、生まれながらの小説家だった。川端や林を驚かせる独特な小説家だったんですね。〉引用者註、「林」は林芙美子。

 時代とともに読まれなくなるものはある。古典や分厚い文学全集は敬遠される。わかりやすい短い文章、結論だけを求めてしまう。科学技術の進歩はありがたいが、「表現に接する感性は違う」。

〈時には、昔の作品も味わえるようならいい。ソフトクリームやチョコレートはおいしい。しかし一方に、かたくても、噛みしめると、実は味のあるものがありますので。/多くの先人が敬愛した秋声を、噛んだらかたい――と読まなくなってしまうのは、ちょっと悲しいですね。〉

 と、講演を終える。でもね、まだ話は続く。金沢市内を巡り、名物に舌鼓を打つ。この間も本の話が続々。古書店散策。犀星、庄野潤三、福原麟太郎。金沢の名水はよく知られるが、「水」とどう結びつくか。

(平野)ヂヂは博覧強記の著者についていくしかない。さて、「舌鼓」は「したつずみ」か「したずつみ」か? 「分福茶釜」は「ぶんぶくちゃまが」? 収録作「ゴ」はここから始まる。