2023年1月12日木曜日

笑犬楼VS.偽伯爵

1.8 小磯良平記念美術館「石阪春生と新制作の神戸」展。石阪春生(19292019年)は神戸市生まれ。「女のいる風景」連作がズラリ、初期の抽象画も。



1.9 元町商店街の八百屋で友人夫妻にバッタリ。私と違って社交家で人が良いから友だち多い。同級生たちの消息を教えてくれる。

1.11 孫電話。姉は去年からの相撲番付をスクラップして、応援する力士にメッセージを書いている。

1.12 「朝日新聞」、田中優子法政大学名誉教授が渡辺京二追悼文。

「熱風(ジブリ)」1月号の特集は「渡辺京二インタビュー 小さきものたちの明治維新」。インタビューは昨年121日だったそう。同月25日死去。

 


 筒井康隆 蓮實重彦 『笑犬楼VS.偽伯爵』 新潮社 1500円+税



 ふたりの初対面は蓮實の『伯爵夫人』三島由紀夫賞受賞式。筒井は『伯爵夫人』の書評を書いた。控え室で蓮實はその見当違いを受賞挨拶で話すことを予告。その後のパーティーで筒井は祝辞。自分の作品が嫌いなんだな、と思っていたなど、これまでの因縁を語った。その後は共通の話題、戦中・戦後からの映画・演劇・音楽談義で盛り上がった。

 蓮實の書架には映画論執筆のための参考文献が並ぶ。そこに筒井の著書を発見する。寄贈されたのか自分で購入したのか不明。謎。明らかに自分が読んだ形跡もある。

……ベージュ色のカヴァーによってその題名が視線から遠ざけられていた筒井康隆コレクション版の『朝のガスパール』が身近に置かれていたとは、いったい何を意味しているのでしょうか。そろそろおわかりと存じますが、わたくしは、『ジョン・フォード論』や『ショットとは何か』の執筆中に、ベージュの仮面をマントのようにまとわれた匿名の筒井さんから、無言のままじっと見つめられていたことになるのです。何たる驚き! 何たる僥倖!!! (後略)〉

 蓮實は記憶をたどり、思い出し始めるが、さだかではないようで。

 対談 同時代の大江健三郎(「群像」掲載、『大江健三郎全小説』刊行記念)

 批評 『伯爵夫人』論/『時をかける少女』論

 往復書簡 笑犬楼VS.偽伯爵

「悲痛な共通点」。おふたりとも子息を亡くされている。

(平野)