2023年1月29日日曜日

奇妙な漢字

1.28 訃報、一水会・鈴木邦男。詩人、フランス文学、宮沢賢治研究の天沢退二郎。

 孫に宅配便、大相撲千秋楽の新聞忘れずに。

1.29 「朝日歌壇」より。

〈改札を出てちょっと寄るたのしみのなじみの小さき書肆の消えたり (三浦市)秦孝浩〉

 早いかと思いながら、お雛様飾る。

 

 杉岡幸徳 『奇妙な漢字』 ポプラ新書 900円+税



 中国のある地域の料理を表記するためだけの漢字は57画。書き方を覚えるための「詩」まであるそう。写真、下の右から2番目の字、音「びぁん」。

 もっとも多い画数の漢字は84画、「雲」と「龍」各3使う。「たいと・だいと・おとど」と訓読み、意味未詳。国字、人名に使うらしい。

偏「門」+旁「人」=「門人」は音「ワク・コク」、訓「きゅうにとびだしてひとをおどろかせるこえ」。ルビをふるのはたいへん。

江戸の戯作者が作った漢字、「客」のまわりに「男」「女」3字ずつと「禿」を書いて「おおいざ」と読ませる。意味は「遊郭での大きなもめごと」。

「音」はわかっているが、意味は伝わっていない漢字。西洋の単位「オンス」を表わすために作られた漢字。古文書の人名にあるが、今となっては「音」も意味も不明という漢字。「にさいのうし」「とらのもようのあるうし」「ぶたがおどろく」という字もある。見たことのない漢字、知らない漢字がゾロゾロ。

「馘首」という熟語で使う「馘」の訓読みは「きりとったみみ」(諸橋轍次『大漢和辞典』による)。戦場で切り取った敵の左耳。手持ちの『角川漢和中辞典』では、訓「くびきる」、字義に「みみきる」「くびきる」とある。白川静『漢字の体系』は訓「みみきる」。

 中国の最大辞書では八万五千を超える漢字が収録されているそうだが、多くが実際には使われていない「死字」。それらも中国四千年の歴史のなかで生まれた字。「音」があり「意味」があった。

日本でできた字、個人が作った字、方言漢字、異体字、地名、人名……、記号みたいな字もある。

 著者は、「異端なもの、アウトサイダーなものを深く愛し、執筆活動」。漢字を難しくてしかつめらしいものと思っていたが、奇妙を超えて、マヌケさ・キュートさを感じる。

(平野)