金子國義さん、3月16日逝去。自伝『美貌帖』(河出書房新社)が遺著になった。
芸術は遊びの精神からでてくるものだと今でも信じて止まない。
そして人生というものには、筆でさらさらっと描いたように、自然のまま結ばれる一本の線があると思う。刻々変わりゆき清濁あわせ呑むかのようでいて、微塵のためらいもない、毅然とした凛々しさにさえ、一致するひとすじの流れ。少なくとも僕は、たえずその流れのなかを生きてきたような気がする。
明日はどうなるのかとよく聞かれるが、明日は分からないというのが僕の主義。(略)
明日はない、と思って今日を生きることを大切に考えている。
(あとがき)
(平野)