■ 『まど・みちお詩集』 谷川俊太郎編 岩波文庫 740円+税
まど・みちお(本名・石田道雄)は2014年2月、104歳で亡くなった。生い立ちや詩について語ったエッセイも収録。
まどの年譜を見る。1951年、教育家に童謡を依頼され、「ぞうさん」他を書いた。翌年、先輩詩人・佐藤義美がNHKラジオ「うたのおばさん」に持ち込み、團伊玖磨が作曲。このとき、佐藤が原詩「おはながながいね」を「おはながながいのね」と改稿した。
カバー写真は「やぎさんゆうびん」草稿の一部。2番、手紙を食べてしまった〈くろやぎさん〉が〈しろやぎさん〉に電話する。電話だったら、堂々巡りにならない、面白くない。
「やぎさんゆうびん」は53年NHKで放送(團伊玖磨作曲)。私は「さっきの てがみの ごようじ なあに」と覚えているが、本書では「さっきの おてがみ ごようじ なあに」となっている。まどは、他の行に「おてがみ」と書いたし、相手から来た手紙なので、発表後に直した。
《ところが、あとになって私は、この末行は手紙をたべてしまうほどの頓馬山羊の発語なのだから、その語法も頓馬であってこそ相応しいのだ、と気がつきました。要するに原作に戻したくなったのです。》(おっちょこちょいの見栄っ張り)
でも、ほとんどの人が「てがみの~」で歌っているように思う。
(平野)
「ぞうさん」を「おはなが ながながな~」と歌っていた。