2018年3月1日木曜日

コンパス綺譚


 グレゴリ青山 『コンパス綺譚』 龜鳴屋 2500円+税

1927年から36年、大連、青島、哈爾濱、上海、中国大陸を舞台に小さなコンパス(方位磁石)を手にした様々な人のドラマ。
戦争と動乱の中、コンパスは手から手に渡されていく。詩人~女給~写真館の子~日独ハーフ青年~写真館の子に戻り、その父がロシアの踊り子にあげてしまい、骨董屋に売られて作家が買って、また踊り子にまきあげられて、骨董屋に売られて中国の作家が買って……

コンパスを手にした人は、方角を知るだけではなく、生き方を探し、夢を求め、勇気を得る。方角を失ってしまう悲劇もある。

安西冬衛、金子光晴夫妻、内山完造、魯迅、映画関係者たち他、意外な人物も登場。
 
 

(平野)