2021年5月1日土曜日

かんさいはぎゅうすじやでー

  4.29 ハマッ子の孫がどんどん関西弁に馴染んでくる。絵本『おでんのおうさま」(山本祐司、ほるぷ出版)に出てくるおでんのセリフ、「かんさいはぎゅうすじやでー」がお気に入り。

 雨の中ひとり買い物に出て、乙仲の〈1003〉。昨年末に移転。ますますヂヂは不似合いなおしゃれな本屋さんに。商売の邪魔にならないようにしましょ。『赤ちゃんと百年の詩人 八木重吉の詩 神戸・育児篇」(ほらあな堂)購入。



 田中優子 小林ふみ子 帆刈基生 山口俊雄 鈴木貞美

『最後の文人 石川淳の世界』 集英社新書 880円+税



 なぜ今、石川淳か? キーワードは「自由」。

 現代社会はグローバリズム、新自由主義と言いながら、人びとの自由はむしろ制限され、格差、分断が拡大。執筆者たちは、自由と不服従の精神を体現する石川淳の文学を読むことを提案する。

 1938(昭和13)年、石川が「文学界」に発表した「マルスの歌」は反戦的という理由で、雑誌まるごと発禁処分になる。「反戦」小説ではなく、戦時下の同調圧力への違和感、不服従を表現したもの。

〈戦時下の言論統制で自由な執筆がままならないなか、石川淳は(江戸)に留学した。これはまず第一に同時代への〈不服従〉の実践であったが、その留学先で〈知的自由〉を体験し、江戸人の〈精神の運動〉に触れることになる。〉

 戦中は江戸文化評論執筆。戦後すぐに小説再開。1971年から80年、〈江戸〉研究の成果を小説に活かし、長篇『狂風記』を完成させる。

  私は本屋新米時代石川について、〈無頼派〉というくらいの知識しかなかった。岩波の『石川淳選集』を読んでいる先輩が、江戸の香りを残す最後の文人、と教えてくれた。

 

■ 『隣町珈琲の本 mal”02』 合同会社 隣町珈琲(トナリマチカフェ)

1400円+税



 東京都品川区の荏原中延にあるカフェ「隣町珈琲」が発行する文芸誌、第2号。「mal」はフランス語で不良とかワルの意味。本号特集は「記憶の中のと街」。

関口直人・島田潤一郎・平川克美鼎談 『昔日の客』が残したもの

岡崎武志・荻原魚雷対談 安い古本と高円寺がオレたちの青春ダ!!

山本善行 『善行堂』は「街の灯」になれるか

平川克美 町から本屋が消えた日

 他に、内田樹、森本あんり、春日武彦、佐々木幹郎、小池昌代、三砂ちづる、小田嶋隆ら。

 

(平野)