4.24 「朝日歌壇」より。
〈五十九で逝った母の本棚に「六十からの生き方」という本 (高松市)大友明〉
雨。図書館、「光村弥兵衛」調べ。幕末周防国出身、江戸、下田、横浜を経て神戸に。西洋小間物屋から始め、海運で巨富を築いた。『従六位光村彌兵衞傳』(中西牛郎編・発行、1894年)という本がその後の「弥兵衛」に関する記述――長谷川伸の随筆や息子「光村利藻」に関する本――の種本。弥兵衛は一旗あげるべく奮闘努力、チャンスありピンチあり。知恵と行動力で事業を切り開いた。『傳』は面白エピソード満載ながら、神戸以前の半生は確かな証拠がない。
知床観光船事故、また辛いニュース。
4.26 俳優・山本圭3月逝去のニュース。ドラマ「若者たち」は小学生だったか中学時代だったかに見ていた。大学時代に友人がノベライズ本を貸してくれた。学参出版社だったと思うけれど、はっきりとは思い出せない。ご冥福をお祈りする。
私の家は図書館に近い。ゆえに私は図書館に甘えている。一度ですむ用事をすぐ忘れる。歯医者さんに行く前に、前回忘れていたコピーをさせてもらう。開館前、熱心な方たちが待っておられた。
朝から雨が降りそうで、ちょっと降っては止んで、本降りにならないうちに用事すませる。閉店間近の本屋さん、棚がだいぶ空いてきている。
元町原稿送信。
■ 広瀬和生 『小三治の落語』 講談社学術文庫 1230円+税
柳家小三治の落語を、寄席で直に聴いた記憶、市販のレコード・CD・DVD、テレビ放送の録画などから丁寧に分析。噺のあらすじ、昭和の名人の語り、小三治ならではのとらえ方、広瀬の好みも含め解説する。江戸落語近代史を振り返ることでもある。2010年広瀬が担当した単独インタビューも収録。広瀬は音楽雑誌「BURRN!」編集長、落語ファン、落語会プロデュースも手がける。落語本著作多数。
〈……言うまでもなく小三治の真価は、その落語の素晴らしさにこそある。小三治は「人間という存在の可愛さ」を描く達人だ。小三治の高座で演者が全面に出て客に語りかけるのは、「噺のマクラ」の部分だけ。いったん落語の演目に入れば生身の「小三治という演者」は消え、ただ噺の登場人物だけが現われて、生き生きと動き回る。そこで展開されるちょっとしたドラマに観客は共感し、「人間って、なんて可愛いんだろう」と思って、クスッと笑う。それが小三治の落語だ。〉
客が感動して涙を流す人情噺があるが、小三治は、ぐうたら亭主と働き者の女房の他愛ない喧嘩の噺「厩火事」を、自分にとって人情噺だ、と言う。爆笑を誘うわけではなく、演説するのでもなく、高座で飄々と語った。
2014年単行本、16年講談社+α文庫『なぜ「小三治」の落語は面白いのか?』を改題、加筆、修正した増補改訂版。書き下ろしもあり。
(平野)