2022年7月21日木曜日

平成古書奇談

7.20 会社から、作業中は状況によってマスクをはずすよう指示あり。居住者さんも、マスクせんでいいよ、と言ってくださる。冷感タオルを首に巻いたり頭にかぶったり。青色だからフェルメールの名画のよう。そんなわけがない! のんきな高齢者。

ヂヂ、69歳。家人とビール乾杯。

 

 横田順彌 『平成古書奇談』 日下三蔵編 ちくま文庫 900円+税



 横田順彌(19452019年)はSF作家。SF古典蒐集をもとに明治文化史も執筆。

本書は古書をテーマにした連作短篇集。作家を目指す青年を主人公がいろいろな古書に出会い、事件が起きる。親しい古書店主とその娘が謎解きに協力。古書業界の話あり、SFあり、ファンタジーあり、ホラーあり。

一話一話面白いけれど、少々不満ある。怖い事件に巻き込まれても次の作品は淡々と続くし、店主の話には作り話の疑いを持つ。店主は娘と青年の交際に甘いし、簡単にかわいい大学生と付き合えるのは腹が立つ(言いがかり!)。青年の執筆作品は統一性がないし、彼はよく本を紛失する。全体がファンタジーと思えばいい。最終作品でオチがつく。

この連作は雑誌に掲載されただけで単行本未収録だった。横田死後にSF仲間と古書店主が蔵書整理して気づいた。

(平野)