8.31 台風11号は沖縄の南から西に向かうと思っていたら北上して九州に近づくらしい。
9.1 臨時出勤、明石西部。重そうな雲が空を被う。雷鳴ゴロゴロ。
黒鉄ヒロシ『マンガ猥褻考』(河出新書)。
芸術表現と猥褻の境目は? そもそも猥褻とは?
〈一度迷い込むと、この”森”からの脱出は困難――というよりも不可能。〉
老いれば悟りの境地に達する、わけではない。
黒鉄マンガはB5サイズで読みたい。新書では小さい。
9.2 神戸は青空広がる。夕方のニュースでは大阪府内に土砂災害警報。
ひさしぶりに孫電話。妹がスマホの前で陣取る。後ろをぬいぐるみ抱えて叫びながら走り回る姉。
今週も内外著名人訃報。ミハイル・ゴルバチョフ、稲盛和夫、古谷一行。ご冥福を。
■ 巖谷大四 『懐かしき文士たち 大正篇』 文春文庫 1985年
初出は「別冊文藝春秋」133号から137号(1975~76年)。単行本『物語大正文壇史』(文藝春秋、1976年)。
巌谷大四(1915~2006年)は編集者、文芸評論家。父は巌谷小波。
明治天皇崩御にはじまる大正文学史。
天皇崩御を知って、漱石(45歳)は「明治の精神が天皇に始まつて天皇に終わつたやうな」気がした。鷗外(51歳)は乃木将軍殉死に触発されて「興津五弥右衛門の遺書」を数日で書き上げた。
明治の文豪の死、新鋭作家の活躍、女性作家の登場、詩人たち・作家志望者たちの青春、人気作家のスキャンダル、関東大震災などなど、エピソードを年代順に紹介。
昭和2(1927)年7月芥川龍之介自死。葬儀で菊池寛が弔辞を読んだ。「君が自ら選み自ら決したる死について我ら何をかいはんや、(中略)友よ、安らかに眠れ!(後略)」。夫人、子どもたちを支える決意を伝え、さらに友の死を悼む。参拝者たちは涙、涙。
〈そのすすり泣く声は、大正文学への挽歌のようであった。〉
(平野)