2013年10月19日土曜日

【奥】のおじさん


 日記 1019日 土曜日

昨日の『昼田とハッコウ』に追加。

GF・市さんが教えてくれていた。
『ダ・ヴィンチ』11月号にナオコーラさんインタビューと『昼田とハッコウ』スピンオフ短篇書き下ろし。

 

今日は妻とデート。

「それからのブンとフン」 
/井上ひさし 演出/栗山民也 出演/市村正親、小池栄子 他  
シアターBRAVA
 
 

 元々は1969NHKラジオで放送したミュージカル「ブンとフン」。70年小説化(朝日ソノラマ)。74年、加筆して「それからのブンとフン」戯曲化(『新劇』白水社)。75年、劇団テアトル・エコー初演。76年単行本『雨』(新潮社)所収。

 現在新刊本屋で入手できるのは、『ブンとフン』(新潮文庫)、『井上ひさし全芝居 その二』(新潮社)。

 

貧乏作家フン先生が書いた小説から、大泥棒ブンが現実世界に飛び出してくる。なんでもかんでも盗んでしまう。ベルリンのシマウマの縞を上野動物園のシマウマの横縞にし、自由の女神の炬火を奪い、奈良の大仏を鎌倉の大仏の隣りに移動、テームズ川の水を蒸発させ、横綱の化粧まわしを土俵入り最中に消し、アンパンのへそをなくし、玉子を白味だけにする。
ついには人間の「権威」まで盗む。

 原作増刷、海外での翻訳。そのたびにブンの分身が増殖する。世の中「ブン」一色。
 当局は悪魔と契約して「ブン」逮捕に乗り出す。「偽ブン」も登場。
 世界ブン大会で、オリジナル・ブンと「海外翻訳ブン」(社会主義国・発展途上国)が対立し内ゲバ。ついに死闘。

 フン先生、オリジナル・ブンのために獄中で執筆再開。しかし、ペンも紙もない。

 

 フン  壁でいい、紙がなければ壁でもよい。ペンがなければ、この十本の指がわしのペンだ。そしてインクは......噛み切った指から吹き出すわしの血。



 井上ひさしの社会批評が満載。まさしくプロレタリア文学の継承者。
 
(平野)