2013年10月30日水曜日

流れに抗して


 
 鶴見俊輔 『流れに抗して』 編集グループSURE 1900円+税 

目次と初出

理知と感情と意志――与謝野晶子の政治思想 (与謝野晶子『愛、理性及び勇気』講談社文芸文庫・解説 1993年)


ウフフの哲学 (日高六郎・針生一郎・菅孝行共著『戦後とは何か』青弓社 1985年)


『市民の暦』から (小田実・吉川勇一共同編集『市民の暦』朝日新聞社 1973年)

未来の形についての不確かな手がかり (河合隼雄他共著『昭和マンガのヒーローたち』講談社 1987年)

足にやどる定義 (大江健三郎『新しい人よ目ざめよ』講談社文庫・解説 1986年)

加太こうじのこと (「活字以前」第50号 2013年)

阿伊染德美のこと (「活字以前」第51号 2013年)

共同研究「転向」をはじめるまで (『共同研究 転向』1 平凡社東洋文庫 2012年)

流れに抗して――あとがき


「ウフフの哲学」より。 

 ジョージ・オーウェルのエッセイ「右であれ左であれわが祖国」の考え方を紹介し、自身の「わが祖国」に対する思いを書く。右であろうと左であろうと祖国なのだから政府の決定に従う、ということではない。

 時の首相の「浮沈空母」「日米運命共同体」発言(1983年)。彼は戦争中すでに教養を身につけた成人だったはず。心の痛みなくこう発言できる政治家に対する時、鶴見は「この国の伝統の中から、これとわたりあう力を探したい」と書く。

……

「もう日本は絶望だ」と言えないところがあるのですね。探り続けなければならないから、そこに我々が生きているから。どんなに伝統の層が薄くとも、つまり鉱山だったら本当に薄い層で、ほんの少ししか望む鉱石が得られないとしても、そこから探し続けたいということですね。それが「右であれ左であれわが祖国」という問題なのです。もしその薄い鉱脈、この国の伝統から探しあてたものが主として自分の考えに反するものであるならば、いやなものばかり探しあてたら、それ自身が自分の養いになるような、そういう仕方で生きたいと思うのです。
 日本の伝統を美化したいということではない。くだらないから、ここ掘れワンワンで、悪い方の犬が指示したら、もうゴミばかりでてきたでしょう。しかしそれが我々の伝統であるなら仕方がないというふうな覚悟でとにかくやってみたいですね。そういう方法はあるはずだと思うのです。伝統を無理に歪めて美化することなしに。それがわたしにとっての今の問題であり、方法です。

 ……

 SUREの本はこちらからお申し込みください。


 私は三月さんで買いました。

◇ 日記 1030日 水曜日

「ほんまに」進行中。F店長とゲストKさんの対談に同席。映画サークルUさん、「くとうてん」3名。凮月堂にて。例によって、私は美女たちに見とれて過ごした2時間半。
 
(平野)