8.13 この夏休みは孫たちに会えないので宅配便の荷物準備。姉には絵本、妹にはミフィーの人形など。絵本のついでに自分の文庫も購入。
8.15 お盆、電車休日ダイヤで勝手が違い、2度乗り換え、戸惑う。マンションでは帰省ご家族の姿がちらほら。会社貸与携帯電話に迷惑メール「国税庁」着信、会社に報告。
■ 髙田郁 『あきない世傳 金と銀 十三 大海篇』 ハルキ文庫 680円+税
いよいよ完結。吉原衣裳競べ、五鈴屋の屋敷商い新店と菊栄の笄売り出し、歌舞伎役者・二代目吉之丞のための「染め色」完成、さらに新しい製品構想と順風満帆、いよいよ商いの大海へ出航……、多くの読者が予想していると思う。
ところがどっこい、サディスト郁は大詰めでも五鈴屋面々を奈落に落とす。憎たらしい陰謀? 良きアドバイザーと思っていた人の裏切り? そのうえ大火事が江戸の町を襲う。
そうは言っても、最終巻。大団円を期待しているから、早く読み進みたい。ページをめくる指がせわしない、先走る。
主人公・幸は9歳で五鈴屋に奉公し、商売の才能を見出された。「買うての幸い、売っての幸せ」の教えを守って、店を盛り立ててきた。30数年、多くの人と出会い、大切な人を失っても新たな縁をつないできた。仲間と共に度重なる困難を克服してきた。同業者や生産者、職人、町内他業種との共存共栄を目指す。何よりもお客のため。商いに終着地はない。騒動が治まり、支援者に思うところを問われて、
「航海には嵐が付き物、この先、幾たびも容赦なく嵐に襲われることでしょう。けれど、何度でも乗り越えてみせよう、と存じます。ひとりではありませんし、一軒でもありませんから」
読者諸氏もご苦労さん。著者は特別巻を2冊予告しているので、待ちましょう。まだまだ「お楽しみはこれからだ」です。
本巻、付録に「五鈴屋出世双六」あり。絵は神戸兵庫の画家・イシサカゴロウ。
個人的には本書登場の「田原町買い物双六」もほしい。
(平野)