2022年12月11日日曜日

製本屋と詩人

12.8 訃報。俳優の志垣太郎、3月に亡くなっていたそう。

12.10 訃報。映画監督・吉田喜重。俳優・江原真二郎。ご冥福を。

 一年ぶり京都大谷本廟お参り。良いお天気。家人は目的のお店二軒に振られる。一軒は入場制限、整理券要で次回は数時間後。もう一軒は閉店。ヂヂは目的なく後をついていくだけ。

 

 イジー・ヴォルケル 大沼有子訳 『製本屋と詩人』 共和国 2500円+税



チェコの詩人、イジー・ヴォルケル(190024年)の作品集。童話5篇、詩24篇、評論1篇。裕福で文化的な家庭に育つ。ロシア革命、第一次世界大戦、チェコ独立宣言という激動時代。イジーは共産党に入党。勉強しながら文筆活動。肺結核を患い、24歳で亡くなる。

 表題作は、豊かな詩人と貧しい製本屋の話。詩人は尊敬され、その詩は読む人を楽しくさせる。製本屋は病気の妻と苦しい生活。詩人は詩集を製本屋に直してもらう。製本屋は仕事ができて喜ぶが、妻の病は重い。妻に詩集を読んで聞かせると、ふたりの苦痛が詩集に吸収されてしまう。妻は息絶えた。詩人が人びとの前で詩を朗読するが、楽しいはずの詩は悲しく重苦しいものになっていた。詩人は製本屋を逮捕させる。獄中で製本屋は神様が一緒にいてくれると感じる。詩を書いて窓から投げる。その詩は読む人のしかめっ面や嘆きを終わらせる。

(平野)