2022年12月8日木曜日

天使たちの都市

12.4 「朝日歌壇」より。

〈封書にて「サヨナラダケガ人生」の言葉を添えて賀状を止めぬ (亀岡市)俣野右内〉

「朝日俳壇」。

〈新刊書買って浮き浮き鰯雲 (大野城市)中村一雄〉

12.5「みなと元町タウンニュース」364号着。Web版更新。拙稿は「西村旅館」。ああ、また誤植見落とし。「商人」が「承認」に。

https://www.kobe-motomachi.or.jp/motomachi-magazine/townnews/

12.6 サッカー、日本チーム善戦のすえ敗退。選手の皆さんは悔しいでしょうが、ヨーロッパの強豪に互角以上のゲーム。大拍手です。

 マンション仕事の先輩・萬さんが退職。海文堂OGでもあり、そのつながりで小、福、平が採用された。会社の有志で送別会。参加者一様に「何年お勤め?」「何歳?」と訊ねる。それは失礼じゃありませんか!

 

 チョ・ヘジン著 呉華 『天使たちの都市』 新泉社 2200円+税



 韓国文学セレクションシリーズ。表題作他、「そして、一週間」「インタビュー」「消えた影」「背後に」「記念写真」「女に道を訊く」、中短篇7作品。テーマは孤独。コミュニケーション、病、恋愛、ホームレス、いじめ、社会から受ける肉体的・精神的暴力、無関心……、主人公たちは世の底辺で不安を抱えながら生きていく。

「天使たちの都市」とはアメリカのロサンジェルス。「彼」は5歳のときアメリカに養子に出され、田舎町で育つ。ロスで働く前にソウルの語学学校入学、19歳。「わたし」は語学学校の教師32歳。韓国語初級の青年とカタコト英語の女性。ふたりは恋に落ちる。3年後、ロスの「彼」から韓国語で葉書が届く。コリアタウンのスーパーで働き、結婚して子どももいる。「わたし」は返事を出そうと思うが、書けない。ただ葉書を読み返す。一度だけ書こうとした。

……きっとわたしはこう書きたかったのだと思う。きみといた頃、わたしは五歳のきみを何度も見たと、何度もアメリカの田舎町にある典型的なウッドデッキに腰を下ろし、果てしなく続くトウモロコシ畑を見渡しながら天使たちの都市を想像したものだと、できることなら、きみと一緒にどこへでも行ってしまいたかったと、それだけが、それだけはいつだって偽りではなかったと。〉

 カバーの絵と挿絵、イシサカゴロウ。

(平野)