2023年3月2日木曜日

占領期カラー写真を読む

2.28 元町原稿校正して、次回分も送信。2月は短い、忙しい。

 午前中図書館。毎回同じ資料を出してもらう。まだ先は長い。

 仙台の出版社「荒蝦夷(あらえみし)」は古本屋さんを開いているが、このたび新しいお店を出す。「河北新報オンライン」より。

https://kahoku.news/articles/20230227khn000031.html

3.1 3月、とたんに暖かい。油断できないけど、もう少しで春。霜焼け・あかぎれもだいぶ良くなった。

 孫電話、最近は妹が主動。姉は読書か、あやとり。妹は「こんにちは」したら、あっさり「バイバイ」と切る。

 

 佐藤洋一 衣川太一 

『占領期カラー写真を読む――オキュパイド・ジャパンの色』 

岩波新書 1140円+税



 佐藤は早稲田大学社会科学総合芸術院教授(都市史、ビジュアルアーカイブ)。衣川は神戸映画資料館研究員(フィルム資料研究)。

 早とちりして、米軍撮影写真で検閲やマル秘など発掘か、と思った。軍の公式写真や新聞報道写真ではなく、兵士がプライベートで撮影したもの。街の様子、観光地、風景や日本人の生活、芸能、自分たちの職場や家族など。焼け跡を空から撮影したものもある。しかもカラー写真、カラースライド。高価なカメラとカラーフイルムで戦争直後の社会と日本人の姿を撮影している。個人が大量の写真を撮影した。それぞれ来日の時期が違うだろうし、職務も異なるだろう。彼らは何に興味を持ったのか。

 そもそも「敗者は映像を持たない」(大島渚)。アメリカ軍が爆撃機から撮影した映像はあるが、空襲された側の映像はない。情報を持つ勝者、持たない敗者。プライベート写真も日本人に見せることを前提にしていない。断りもなく個人にカメラを向ける。

〈「持たざるもの」としての自己認識を持つ者は、過去の記録を欲する。各地で記録を回復しようと努力がつみかさねられてきた。今こそこれまでの蓄積を振り返るべき時ではないか。写真とじっくり向き合う態度さえ忘れなければ、そこでの気づきは、われわれの歴史に対する先入観や紋切り型の言説を刷新し続けてくれる。本書はその実践である。〉

 服の色や市場の食料の色で、戦後生活の様子を見ることができる。正月の晴れ着姿、都会のおしゃれな子ども服、地方の子の鮮やかな赤いセーター、マグロの赤身など。時期や場所も特定できるだろう。アメリカの個人の家に眠っている。ネット上で公開されたり、オークションでバラ売りされたり。戦後史資料としてプライベート写真を読み解き、保存蒐集するのは気の遠くなる作業。

(平野)