2015年1月10日土曜日

須磨の歴史散歩


 田辺眞人(まこと) 『須磨の歴史散歩』 神戸市須磨区役所 平成93月初版 平成193月改訂版 頒価500円 A5判 160ページ

 著者は1947年神戸市生まれ、園田学園女子大学名誉教授(歴史学・比較文化論)。神戸市・兵庫県郷土史の著書多数。

 先史・古代から現代までの〈須磨〉を中心に時代の流れを見、史跡・文化遺産を訪ねる。
 地名の由来は、古来この地が畿内と山陽の境界だったことによる。六甲山地が海岸まで迫り、山と海にはさまれた角(すみ)の地形で、畿内の西南端=すみっこ。〈スミ〉が〈スマ〉になったという説。「栖間」=「住み良い所」という説もある。漢字では〈周麻〉〈珠馬〉などと記されたが〈須磨〉に定着した。
 奈良時代、現在の須磨浦公園一帯は峻険な荒磯で〈赤石櫛淵〉と呼ばれた交通の難所。山陽道は山の北側を迂回していた。平安時代に砂浜が広がり街道が通じ、荘園開発が進んだ。風光明媚な土地で、昔から歌に詠まれている。
 源兼昌 「淡路島通う千鳥の泣く声にいく夜寝覚めぬ須磨の関守」

 

第1章   須磨の歴史  

1節 先史・古代  須磨の地名と赤石櫛淵  板宿の地名と菅原道真  松風・村雨堂と在原業平 ……

2節 中世  平清盛と築島建設  一の谷と福原の都  平家の敗走  松岡城と足利尊氏 ……

3節 近世  近世の村々  西国街道を歩く

4節 近現代  阪神・淡路大震災と須磨  地震の歴史に学ぶ

第2章   史跡・文化遺産

第3章   観光・レジャーのために  おすすめ散策コース 物産 ……

第4章   資料編  神戸市編入後の主な出来事  町名の由来  指定文化財

参考文献  史跡・社寺(索引)

 表紙の絵は、月岡芳年「一の谷大合戦 鷲尾三郎案内して鵯越の裏手を越る図」(神戸市立博物館蔵)。

(平野)
 須磨で働くことになったのもご縁、板宿〈井戸書店〉にご挨拶。本書ともう1冊購入。〈くとうてん〉の本を沢山売ってくださっている。

「板宿(いたやど)」で思い出した。須磨を舞台にした小説で「いたじゅく」とルビがあった。著者は須磨ゆかりの人なので、編集の間違いでしょう。