■ 村上和子 『神戸味どころ』 保育社カラーブックス 1982年(昭和57)4月刊
著者は当時サンテレビディレクター。「洋菓子天国KOBE展」総合プロデューサーを長年勤めた。現在は特定非営利活動法人「グランドアンカー」理事長、ミナトを生かした「みなとまちづくり」をめざして活動。
表紙は異人館「ラインの館」にあったドイツ喫茶。
とれたての瀬戸内の魚、世界に誇る神戸ビーフ、ふっくら良質の三田米、酒は灘の生一本。各国の料理をはじめ、新鮮でバラエティーに富んだ味覚が手軽に味わえるのも、ミナト神戸の大きな魅力です。街には、まるで“洗練された女性のバッグの中”のように、個性をもったいろいろな味どころが、コンパクトにつめあわされています。それらのひとつひとつに、味覚を作り、味わい育てた、料理人や神戸っ子たちの「食べること」に対する、あらゆる熱き思いもこめられています。
世界の料理から郷土料理、喫茶、屋台まで150店あまりを紹介。現存しているのは何店か不明。
神戸らしいと私が思う店(?)をひとつ。
「バタヤン船(うどん)」
♬波の瀬の瀬に ゆられてゆれてエ……
まっ赤なのぼりを立てて、今日も行く行く、バタヤン船。
港で働く人のために船で商い。うどん、そば、おでん。商売の売り声は店主の歌。田端義夫(バタヤン)の歌を歌いながら港内を流す。釣り人にも人気があったそう。
(平野)