■ 『ほんまに』第18号 くとうてん 476円+税
連載陣 その1
ミニコミにしてはちょいと豪華な執筆陣。
●本屋さんで逢いましょう 髙田郁
本屋を愛する作家。今回はサイン会の話。登場人物に肩入れする読者にとまどい、合格祈願を頼まれればかしわ手を打つ。担当「無駄にイケメン」編集者とのドタバタも。髙田は読者と触れ合える機会を大切にしている。だから著書を電子書籍にしていない。
《サイン会は、電子書籍では駄目なのだ。紙の本だから、また、リアルの書店だから出来ることだ。》
●パリ古本紀行 日本女性、パリで古本を売る(1) 林哲夫
2013年、林はパリで古本屋リストの中に日本人らしい名前を見つけた。連絡したところ目録が届いた。日本の写真集が並ぶ。その人は林が知る京都のコレクターと旧知の間柄だった。宿に来てもらって話し、話し足らず自宅に伺う。シュルレアリスム関係書、詩集などのコレクションを見せてもらい、珍しいレコードを聴く「至福」の時間を過ごす。
《宿に戻っても、古書の余韻に浸ったまま、その夜はぼんやりと過ごした。窓から見上げると蒼い月が浮かんでいる。遠く、近く、にぎやかな調べは未明まで絶えることがなかった。》
●馴染みかけの町へ 3 韓国編「セイセイ、ソウルへ往く」 石橋毅史
「セイセイ」は「センセイ」? これも間違い?
石橋は出版・書店を取材しているライター。ソウル国際ブックフェアで日本の書店と電子書籍販売について講演した。著作『「本屋」は死なない』が韓国語訳されており、会場で販売してくれていた。
《今日の俺はセンセイだ、盛り上げなくては名が廃る。》
講演が終わったらサイン会! 著書は2冊売れ、いや通訳さんが1冊買ってくれて3冊。版元関係者が慰めてくれる。打ち上げの焼肉店で、石橋は青唐辛子の洗礼を受ける。
髙田郁 『あきない世傳 金と銀(二)早瀬篇』 角川ハルキ文庫 発売中
林哲夫が編集に参加し装幀も担当 『花森安治装釘集成』(みずのわ出版)11月刊行予定
石橋毅史 『まっ直ぐに本を売る――ラディカルな出版「直取引」の方法』 苦楽堂 発売中
(平野)