2019年4月20日土曜日

文豪 お墓まいり記


PR誌は『熱風(ジブリ)』4月号、特集「子どもと向き合う」(スタジオジブリ)。ある公立中学校の校長インタビュー。校則なし(心得3つ)、チャイムなし、制服はあるけど服装自由、多様性を重んじる。発達障害や識字障害のある子、心に問題をかかえている子、外国の子、みんなが一緒に学べる教育(インクルーシブ教育)を実践する。校長はじめ教員の努力、保護者の理解、生徒たちの自主性、それに先生と生徒の信頼関係。学力はどうなのかなんて、余計な心配。
 
 

新聞訃報。419日、渡辺千萬子さん逝去、89歳。日本画家・橋本関雪の孫で、谷崎潤一郎の義理の息子の嫁(ちょい複雑)。『老人瘋癲日記』颯子のモデル。

その谷崎と永井荷風の敗戦前日エピソードから始まる本。
 山崎ナオコーラ 『文豪 お墓まいり記』 文藝春秋 
1550円+税



 文豪たち(画人一人)26人のお墓や縁の場所を訪ね歩き、作家と作品への思いを語る。
 中島敦(享年33歳)の墓をおまいり中、山崎は中島が自らの死を予感した文章(『かめれおん日記』)から、父の死の瞬間を思い出す。

〈父は、私がひげを剃ってあげているときに死んだ。私には、その瞬間がわからなかった。亡くなったとき、部屋には私しかいなかったので、そのことにずっしりと重みを感じて、今でもたびたび考え込んでしまう。その瞬間、というのがどういうものなのか、その瞬間というものを大事にすべきなのか。それとも、どうでもいいこととして扱うべきなのか。今は真っ直ぐに伸びていくように感じられている時間軸が、死の瞬間には、まったく違うものに変わるのかもしれない。〉

花をいけ、お供えをし、線香をあげ、手を合わせる。作品の感想やお礼を伝えるそうだ。時には掃除(ご遺族に失礼のないよう)。だいたい夫がいっしょ、ときどき母上、たまに一人。夫妻なら散歩、デートの一環。カツ丼が食べたくて、ついで(?)に墓まいりしたこともある。私からは誰のお墓とバラさない。路面電車に乗ったときのアンケートで、利用の目的に、妻は「仕事」と選び、夫は「レジャー」を選ぶ。おまいり前に腹ごしらえし、終了後は精進落とし(?)の肉食もする。
 でもね、夫妻にはつらいできごともあった。そのご供養も。

 
カバーイラスト 暮「永井荷風と谷崎潤一郎」
本文イラスト 山崎ナオコーラ

(平野)夫妻は谷崎倚松庵訪問のため神戸にも。ちょうど海文堂書店閉店直前、わざわざ来店してくださった。ナオコーラ色紙、私が大事に保管している……はず。