2020年4月16日木曜日

「井上ひさし」を読む


4.14 外出自粛と言われても、私ら現場仕事は出て行かなければならない。今日は臨時で代行勤務。そのマンションから楠木正成の古戦場が見える。風強し。丘に葉桜が連なる。大正時代、兵庫の富豪・池長孟が牧野富太郎を援助し、この丘に研究施設を設立した。

本は、今村忠純他編著『「井上ひさし」を読む 人生を肯定するまなざし』(集英社新書)。井上ひさしと交流の深かった人たちによる座談会5篇、プラス井上も参加した1篇収録。井上の作品を読み継ぎ、その思いを受け継いでいく。
井上ひさし没後10年。生前遅筆で公演中止を繰り返したが、その理由がわかる。歴史的事件・作家の実像を題材に、膨大な資料を探索し、事実と思っているものの裂け目を見つけ、真実をえぐり出す。悲惨さや傷跡までさらす。想像力をめぐらし、喜劇という手法で。改めて作品に込められた思想を知る。
本書で大江健三郎が自分と井上の想像力のとらえ方の原理、フランスの思想家ガストン・バシュラールの考え(『空と夢――運動の想像力にかんする試論』法政大学出版局から)を紹介。最近別の文章でも出てきた。三浦雅士「スタジオジブリの想像力――どうしてオープニングで空を飛ぶの?」(「熱風」2020.4月号)がバシュラールの同じ本からジブリの「想像力」を解説している。
 
 

4.15 深夜、ゴロウさんが「ほんまに」第20をポストに入れてくれていた。心遣い感謝。2年ぶりの刊行で、時間かかった分、それなりの出来栄え、と、私はあんまり手伝っていないので偉そうに言えない。

(平野)