2020年4月18日土曜日

社会的距離


4.16 本日の「折々のことば 鷲田清一」(朝日新聞 4.16)は日本文学研究者ノーマ・フィールドのことば。『「井上ひさし」を読む』の座談会(小林多喜二について)での発言が紹介されている。

「本来、雑談はそれ自体が目的です。つまり、人間にとっては欠かせない贅沢(原文傍点)の象徴たりうるかもしれません」

 多喜二は非合法運動の生活で「雑談」を許す人間関係・信頼関係から外れてしまう。それは特殊なことではない。現代の格差社会では人々が分断され、親しくない人や立場の違う人としゃべることが難しくなっている。ノーマのことばは続く。「あるひとを四六時中働かせ、あるひとには全く働く機会を与えないのが現在の資本主義体制です」。

 コロナウイルス感染も人間関係を分断する。予防のため「社会的距離」を取るよう言われる。経済学者・浜矩子は、我々が求められているのは物理的距離、と指摘する。

「物理的に距離を保っているからといって、疎遠になり、社会的関心を失い、他者の命運に無関心になったりしてはいけない」(「浜矩子の新ストリートエコノミクス 106」 BIG ISSUE 381

仙台イラストレーターさんから新年度年賀状通信が届く。ふんわかほんわり、和む。出版の計画が進んでいる由。
 午後、「ほんまに」を知人に送る。「生きてまた会いましょう」と書いた。(株)くとうてん訪問、時差出勤やら在宅勤務で社長と編集長のみ。完成パーチーはおあずけ。
 古本屋さんも休業に入ったよう。うみねこ堂書林に寄ると、営業してはった。業界ベテラン勢は営業継続の様子。店主の話でジュンク堂三宮店も週末から休業と知る。時間の問題とは予想していたが、これで神戸中心部の新刊本屋さんは全部休業になる。電車乗って遠方へ行くのは外出自粛に反する。ネットは気が進まん。じっと我慢。私は本で「社会的距離」を保ちたい。

寝る前読書は、井上ひさし『秘本大岡政談』(ちくま文庫)。表題作他時代小説短篇集。
 
 

(平野)