2014年12月27日土曜日

本屋会議


 本屋図鑑編集部 『本屋会議』 夏葉社  201412月刊 1700円+税
イラストレーション 得地直美  ブックデザイン 櫻井久

はじめに
わたしの町の本屋さん1 島田潤一郎
【本を届ける本屋さん】今井書店(長野県・茅野市)
【被災地の本屋さん】桑畑書店(岩手県・釜石市)
町には本屋さんが必要です会議 島田潤一郎
【町のCD屋さんの話】タクト(東京都・千代田区)
わたしの町の本屋さん2 空犬太郎
【横浜の本屋さん】有隣堂(神奈川県・横浜市)
【町の人たちが支える本屋さん】留萌ブックセンターby三省堂書店(北海道・留萌市)
本屋さんの五〇年 空犬太郎
本屋原論 笈入建志
わたしの町の本屋さん3 島田潤一郎
【あたらしい本屋さん】文久BOOKS(福岡県・福岡市)
【ショッピングセンターのなかの本屋さん】本の店 英進堂
【わたしの町の本屋さん】ウィー東城店(広島県・庄原市)
【ウィー東城店の一日】 写真 キッチンミノル
あとがき

「町の本屋さん」について考える本。なぜ、「町の本屋」は長く経営危機状態であり続けているのか? 「町の本屋」の魅力とは何なのか?
 簡単に答を見い出せないことだが、「町の本屋」と一緒に考えてみる。本屋の人間だけではなく、出版社の人も取次の人も、町の人々と一緒に、真剣に考えようという試み。

「町には本屋さんが必要です」と胸を張っていえるのは、一個人、つまり、その町に住むお客さんだけなのだ。

 20141月、「本屋図鑑編集部」が「町には本屋さんが必要です会議」(町本会)を立ち上げた。1年間限定の活動。

 趣意書。
 町から「本屋さん」が消えつつあります。激しい競争、仕入れの困難など様々に原因が語られますが、いま私たちに必要なのは町の人々に本当に必要とされる本屋のイメージではないでしょうか。「町本会」という場を通して、何から取り組むべきかを具体的に考えていきたく思います。

 会議を16回開催。「町に本屋が必要」と考える人たちが集まり、意見を述べ合った。
「町本会」発足のきっかけは20139月の【海】閉店。同年7月『本屋図鑑』に紹介されたばかりなのに、突然の閉店。編集部の皆さんの驚きは大変なものだったでしょう。在籍していた者として申し訳ないが、私たちも「いきなり」のことだった。14年9月に福岡元店長が「町本会」に出席して、「閉店」を振り返り、なぜ閉店せざるを得なかったのか、思いを語った。

「アナログ型、職人型の地域の独立書店の終焉、息切れ」

 

 広島県の中学生・夢実さんの作文「本好き中学生の三年間」が紹介されている。

私は、本が大好きです。
本は、私の半分を作り、おこづかいの九十パーセントをしめています。……

 学校公認の本好き。図書委員になって閉館状態だった図書室を復活させていく。職場体験学習で地元の本屋さんで働いた。図書室に役立つことを学ぼうと思ったが、書店員の行動(作業に込められたお客さん思いの心)に打たれた。

 人のために何ができるか、人のためにできることをどのようにとり入れているか。人が本を読みたくなる環境とはどういうものかを学ぼう。そう考え直して、五日間必死に学び続けました。(略)
 私の町の本屋さんは、とても親しみやすい本屋さんです。お客さん思いのお店で仕事を体験できて、自分を変えることができました。

 先生や他の委員と協力して、利用者のために図書だよりを作り、アンケートを実施して、本を読みやすい環境作りを考えた。利用者が増え、本の管理もしやすくなった。新しい図書室も完成目前だが、自分は引退になる。

「本が好き」っていうだけで、世界が広がることもあるんだ。図書委員長をやっていることも自分の特徴としていいんだ。

 「夢美さん」たちがいっぱいおられると思う。
 町には本屋さんが必要です。

(平野)福岡宏泰「書評」デビューです。「神戸新聞」12.28で佐野由美『路地裏に綴るこえ』(くとうてん)を紹介。
 
「ほんまにWEB」連載更新。http://www.honmani.net/
「しろやぎ」のエネルギー充電、「お道具箱」は新刊台帳について。