2014年12月7日日曜日

忙中閑語


 安野光雅 『忙中閑語』 朝日新聞出版 201411月刊 1600円+税

 雑誌『数学教室』(国土社)連載のミニエッセイ〈2851編〉。見聞したことから教訓を得たり、思いついたことのメモだったり、興味がどんどん深まり広がる話、奇妙な話、笑える話に怒っている話。意外な発想や思考法、架空の学校の校歌も。安野版「考えるヒント」。

000 (略、宇宙飛行士・ガガーリンが「地球は青かった」と言った。もう一つ、「神はいなかった」と言ったという話がある。神を信じていた人にとっても、そうでない人にとっても意味のある言葉)
 倅は、「無限にある星の中で、水も空気もある青い地球を遥か彼方から見たとき、神はいなかったけれど、神という言葉を持ち出す他ないほどの感動があった、ということではないだろうか」と言う。
 そうだった。地球は、奇蹟なのだ。こんなに美しい星は今のところ、かけがえのないものなのだ。そんな地球のうえに棲む生き物はみんな、弱肉強食で生きてはいるが、人間同士が争っていていいのか、文明の進歩は確にめでたいが、そのために沢山のものを犠牲にしてしまった。いまごろ気がつくのは遅いが、このような星は他にないことを忘れてはいなかったか。地球を汚した者が、やがて死んで責任をまぬがれても、汚れた地球は残る。その子孫に対して責任のもてる人間になろうではないか。

 数学の話が多い。数学者・野崎昭弘の『数学で未来を予測する』(PHPワールドサイエンス新書)の読後感想。大切なこととして、「(何でもすぐに)信じる者は滅び、(よく考えて納得しなければ)信じない者は救われる」をあげる。

021 (教会が免罪符を売った。買うほうも買うほう、売るほうも売るほう)
 悲しいかな、世の中というものはそうなっていて、「信じる者は救われる」と信じている者のほうが多いらしい。どんなに未来の幸せを説かれても、「一寸先は闇」であることほど確かなことはない。

(平野)

テレビの時代劇で、信心深い中間が無信心な主人に「信心」の大切さを説いた。
「うまくいけば信心のおかげ、うまくいかなかったら信心が足りない」
 改革が進めば景気がどうの、というのに似ている。KT中の時もそう言っていた。
 私事、いよいよ勤めに出ることに。本とは何の関係もない仕事です。ブログは続けますが、回数は減ると思います。
 ではでは皆さん、カゼにご注意を。