■ 永江朗 『「本が売れない」というけれど』 ポプラ新書 780円+税 2014年11月刊
書店勤務、編集者経験もある人。「哲学からアダルトビデオまで」幅広く執筆。プロローグ ベストセラーは出したいけれど
第1章 日本の書店がアマゾンとメガストアだけになる日
第2章 活字ばなれといわれて40年
第3章 「街の本屋」は40年間、むしられっぱなし
第4章 「中くらいの本屋」の危機
第5章 電子書籍と出版界
第6章 本屋は儲からないというけれど
第7章 「話題の新刊」もベストセラーもいらない
エピローグ どこから変えるべきか
長い長い“出版不況”。本も雑誌も売れない。でも、出版社・取次・本屋の人たちは忙しい。
本を読む人はそんなに減っているのか? アマゾンと巨大書店だけあればいいのか? 小さな本屋は潰れるしかないのか? 電子書籍は? ……
流通改善、本屋の利益増、自主的仕入れ、返品、本屋開業……、業界の諸問題について提言をする。とはいえ特効薬はない。本と読者にとって何が重要かと、考えを立て直す。
いちばん重要なのは「本」だ。(略)まず「本」を大事にしよう。「本」が生き延びるためにどうするか。
次はその「本」を生み出す「著者」と本を読む「読者」だ。(略)すべては、この「本」と「著者」と「読者」のために何ができるからから問われなければならない。(略)出版社も書店も取次も、「本」を「読者」に手渡すためにある。
現在の「本」を取り巻く状況はそのようなものになっているだろうか。著者が10年かけて書いた本が、書店の店頭から1週間で姿を消し、多くの読者が知らないうちに断裁されパルプになってしまう状況は、「本」と「読者」のためになっているだろうか。それどころか、出版社と書店と取次の経営のために、「本」と「読者」がないがしろにされているのではないか。
出版業界の歴史と現状を考え、現在の「本」のことだけではなく未来の「本」も含めて「本」について考える。
(平野)
【海】閉店についても第4章で言及してくださっている。「ショックを受けた」そう。「閉店」について【海】スタッフは取材を受けていないはず。永江さんが情報を確認した「関西の出版社の社長」について2人ほど心当たりはあるが確信はない。最新の出版統計分析は[出版状況クロニクル]をご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/OdaMitsuo/20141201