■ 『現代俳句の世界13 永田耕衣 秋元不死男 平畑静塔 集』 朝日文庫 1985年(昭和60)1月刊
永田耕衣集
序文 吉岡実秋元不死男集
序文 中井英夫
選句あとがき 鷹羽狩行
平畑静塔集
序文 白井健三郎
略年譜 齋藤愼爾
解説 三橋敏雄
本ブログは“神戸本”時々新刊書という方針(?)なので、「永田耕衣」を中心に。
永田耕衣(1900~1997)、兵庫県加古郡尾上村(現・加古川市)生まれ。兵庫県立工業学校卒業後、三菱製紙所勤務。学生時代から文芸誌をつくり、俳句、映画、演劇に親しんだ。社会人になって謡曲、尺八を習う。作業中の事故で右手三指の自由を失う(この負傷で後に兵役免除)。静養中に禅と出会う。新聞・俳誌に投句、社内で劇団結成、戯曲を書き、武者小路実篤の「新しき村」に小説、詩を発表。1934年(昭和9)処女句集『加古』刊行、序文を書いたのは当時の俳壇実力者・小野蕪子。
戦時下、俳句にもその影が及んでくる。新興俳句運動は社会現象・生活を詠む。「京大俳句事件」で平畑静塔(1905~1997、精神科医、京大俳句同人)、西東三鬼(1900~1962、新興俳句の中心)検挙。秋元不死男(1901~1977、海上保険会社勤務)は新興俳句雑誌に関係していて逮捕された。実は、耕衣も本名で投句していた。師匠格・蕪子の警告を受け、句作を中断、謹慎する。
戦後、三鬼、静塔、石田波郷(1913~1969、俳誌「鶴」主宰)、不死男ら、俳句界の理解者というべき人たちと親しく交わる。
定年退職後、須磨に住み、句と書と読書の生活。本書など句集が市販されると、俳壇外の作家、詩人たちが注目した。阪神・淡路大震災で自宅全壊、寝屋川の老人ホームに移り、そこで亡くなった。
コーべブックスが著作を出版していた。『冷位』『一休・存在のエロチシズム』『耕衣百句』など。
耕衣については城山三郎『部長の大晩年』(2001年、朝日文庫)が詳しい。万杯のきつねうどんを喫しけり
コーヒー店永遠に在り秋の雨
(平野)この3日間で紹介の文庫本は神保町すずらん通りのワゴン販売で。