■ 『橋本関雪 アサヒグラフ別冊美術特集 日本編66』 朝日新聞社 1991年2月
橋本関雪(1883~1945)神戸区坂本村(現・神戸市中央区楠町)生まれ、日本画家。祖父・父とも明石藩の儒学者。
湊川尋常高等小学校時代から画家を志し、平野村に住む四条派・片岡公曠に学ぶ。1903年京都の竹内栖鳳に師事。日露戦争従軍。06年神戸絵画研精会を結成。08年東京に移り、文展で活躍。13年京都に転居、初めて中国旅行。その後、数十回訪中。ヨーロッパにも2度行き、ゴッホやゴーギャンに魅了され、古美術品を持ち帰った。中国古典の教養をバックボーンに、日本画、西洋画にも目を向けた。太平洋戦争にも従軍。尊皇愛国の志が強く、戦争画も進んで描いた。
表紙の絵は「僊女図」(1926年)。
作品解説 木村重圭(当時、兵庫県立歴史博物館学芸課長)
……深山の仙境に朱の服をまとった仙女が、渓流のかたわらの岩に座っている。仙女のまわりには、鹿や瑞鳥がむらがり、藤の花が紫の房を垂れている。ふっくらとした仙女の顔は、唐美人がモデルである。色彩的にも華やかな幻想の世界が描き出されている。
京都「哲学の道」沿いの邸宅・白沙村荘に記念館があり、今年9月新たに橋本関雪美術館がオープン。作品、資料、蒐集品が展示公開されている。
(平野)