■ 『ぽかん 03』 ぽかん編集室 900円(税込)
林哲夫さんのブログで見たのは10月末。24日ようやく【トンカ】で入手。
袋入り3点、どれが本誌や?
一番小さいのが『ぽかん』。左下に小さく誌名があった。
名付け親になる話 山田稔
多喜さん漫筆(三)――色恋の談義 外村彰
天童のゐる五分間写生 澤村潤一郎
小樽余市訪問記――左川ちかのこと 中野もえぎ
『わが青春の詩人たち』 真治彩
サウダージ 福田和美
千代田区猿楽町1-2-4(其の一) 内堀弘
(付録)ぼくの百 千葉直哉
コラージュ(本誌・付録) 林哲夫
(付録)のんしゃらん通信
窓口をめぐりたどりつく先は 郷田貴子
折々ありぬ 藤田裕介
夏のお姉さん 近代ナリコ
子供は判ってくれない 中山亜弓
インテリア・エクステリア 能邨陽子
お濠を眺めて、紅茶を飲む 藤田加奈子
イラスト 西松実千代
「名付け親になる話」は本誌命名のこと。真治編集長に頼まれて、ぱっとうかんだ名前が「こないだ」と「ぽかん」。
前者は山田がエッセイで書いた自らのくせ。友人に会うと「こないだはどうも」と前置きして以前の出来ごとを蒸し返す。真治がその「こないだ」が好きだと山田に手紙を書いた。
後者は短篇小説の題。老文学青年が仲間を集め同人誌をはじめる相談。冗談から「ぽかん」が誌名にきまる。
「ぽかん」というのは、私たちの年代も子どもの頃にやったショーモナイ遊びというかカラカイ。考え事やボーッとしている友だちに「なあなあ」と話しかけて、「なんや」とこっちを見る相手の目の前で軽く握った手のひらを広げて「ポッカーン」と応じる。相手が忘れた頃にまたやる。やり返す。
真治は「ぽかん」を選んだ。
山田は「こないだ」を気に入っていて、これで同人誌を出そうと思いつく。むかしの仲間に呼びかける、参加の返事がとどくのだが……。
おもろうて悲しいお話。
【編集後記】……
手紙を書くのがすきだ。いつだって手紙を送る相手をさがしている。(便箋、封筒、ペン、インクの色、切手など)おもいを巡らせる時間が楽しくてしかたがない。雑誌をつくるのはそんな気持ちとすこし似ている。……
ほんまに900円でできるのか?
(平野)