■ 島田潤一郎 『あしたから出版社』 晶文社 1500円+税
装丁 矢萩多聞 装画 ミロコマチコ 写真 キッチンミノル
ひとり出版社・夏葉社社主。
これこれヨソサマで自分の本書いていたら、自分とこの本できるんか~? 外野のチャチャ。
なぜ“夏葉社”という社名なのか?
どうして出版社をやろうと思ったのか?編集の経験はどれくらいあったのか?
なんで全国の本屋をまわるのか?
そんでどーして【海】のクマキに恋愛相談しにきていたのか? ヨソでもやっているな。
編集の仕事は“黒子”で、あんまり表に出ないのだけれど、“就職しないで生きるには21”というシリーズだから、働くことで悩んでいる人や苦難にあっている人たちに読んでもらえる本。もちろん出版に興味がある人、夏葉社が好きな人も読んでください。
島田はロックとマンガに夢中だった。大学での会計の勉強は5ヵ月で放棄、苦手だった読書に打ちこみ、小説家になるべく就職せず、アルバイトやら派遣で食いつないで、夢はあきらめたが就職活動はうまくいかず、お金を貯めては旅に出て……恋をして。
身近な人の死を経て、一篇の詩と出会い、出版を志した。
決意すると、多くの人との繋がりに助けられ、新しい繋がりができる。起業するにはお金がいる。でも、お金がほしいから出版を始めたのではない。
「いい本をつくりたい」
一般的に、出版社はマスコミに分類されていて、夏葉社もまた出版社であり、マスコミなのかもしれないけれど、ぼくの気持ちとしては、本をつくっているというよりも、手づくりの「もの」をつくっているような感覚なのだった。(略)
ぼくは編集者というよりは、そのものづくりの、見習いの職人のようなものであって(師匠は荒川先生と和田さんだ)、その職人は、やっぱり、書店に直接行き、きちんと頭を下げて、「がんばってつくりました」と説明すべきだと思った。
荒川先生とは詩人の荒川洋治、和田さんは和田誠。
【海】のことも書いてくれている。KともうひとりのK、F店長にHのことも。私は冗談話しかしていない。【海】を『本屋図鑑』に入れてくれた。なのにそこから一番に消える本屋になった。そやのに【海】の写真集を採算度外視してつくってくれた。
本書を読んでいると、彼と繋がっている人たちが私たちとも繋がっていると感じる。いつか未知の彼らとも繋がれると思える。私は書店員ではなくなったのだけれど、確かに繋がっている。感謝します。
(平野)
6.27(金)
ゴローちゃん共々「陳舜臣アジア文藝館」取材の打ち合わせで、アーティストでまちづくり運動家Mさんを訪ねる。同館の会誌の話も。
そのまま神戸で出版社「苦楽堂」を興したIさん訪問。海岸通、通称“乙仲”と呼ばれるおしゃれな店舗が並ぶ街のレトロなビルで、硬派な本をつくる。第一弾は秋の予定。それでいつものおバカ話。
6.28(土)
大阪に行こうか京都にしようかと迷っていたら、阪急もJRも事故で遅れているというので、徒歩三宮。J堂で“島田本”入手。どこにあるかと文芸Hさんに問えば、5階「社会科学」と。まだ台車の上に乗っかっていた。Hさんに見せたら、「アヴァンギャルドな表紙ですね、文芸でも併売します」とのこと。
「古書うみねこ堂書林」、神戸本2冊。11月の横溝正史イベントで著名作家複数来神決定だそう。
7月、GF・Yさんの店とアカヘルの店で“島田本”共同フェアの知らせ。
6.29(日)
今日は大阪、J堂大阪本店。ここまで来ないと買えない本がある。神戸在住の作家なんやけど。私の探し方が悪いのか~?
古本屋さんを数軒覗かせていただく。