■ ハマザキカク 『ベスト珍書 このヘンな本がすごい!』 中公新書ラクレ 800円+税
社会評論社編集者。『本の雑誌』で「新刊めったくたガイド」を担当、もちろん“珍書”を紹介。
「ベスト珍書」とは?
世の中には一体誰が買うのだか、どうやって採算を取っているのだかよく分からない本を目にすることがある。タイトルや目次、まえがきを見てみても一体何のことについて書いているのか理解できないものや、よく企画会議に通ったなと不思議に思うもの、さらにはひょっとしてこの作者はちょっと頭がオカシイんじゃないの? でも、なぜだかリスペクトせずにはいられない――そういった本と出くわすことがたまにある。そんなテンテコリンな本を集めたのがこの『ベスト珍書』だ。
ハマザキは毎日出る新刊本すべてをチェックしている。図書館流通センターが毎日入荷した本の一覧を発表(本屋に入らない本、非売品もある)、その中から気になった本、ヘンだと思った本をツイッターで紹介している。
何より、ハマザキ自身が“珍書プロデューサー”だ。これまでの企画はこちらを。
本書では、小説は除外。いくらでもヘンに書けるものは「珍」としない。それから、「いかにもウケ狙いのサブカル書」も外す。
……作り手自らが「どうこれ? ヘンでしょ?」などと読み手に迫ってくるようなワザとらしいのは何だか気持ち悪い。
他にも「と学会」とかがよく扱っているような電波系や陰謀論、宗教本、オカルト本も外した。……
目次
第1章 珍写真集 吐瀉物、老婆のヌード、動物の死体、葬式、カラのプール、双子姉妹45組の10年後 ……
第2章 珍図鑑 手押しポンプ、勲章、ロープウェイのゴンドラ、ローリング・ストーンズの海賊盤、チャック、碁会所 ……第3章 珍デザイン書 出家者のための死体腐乱仏教画集、メキシコ系アメリカ人の囚人による画集、逆立ちしても読めるロゴ集 ……
第4章 珍造本 全長8メートルの蛇腹本、建築物の残骸でウクレレ、世界一細長い本、虹が浮かび上がるパラパラ本、カバー穴だらけ表紙箔押し本文の紙9種類の文学書 ……
第5章 珍理工書 円周率100万桁、歯車損傷、クリーニング事故衣料、電車走行音、高額大型史蹟建造物資料 ……
第6章 珍語学書 アメリカン看板 民間語源(外国語と日本語の意味と音が偶然似ている単語を集める) 外国人の名前を漢字で当て字(タトゥー用) ……
第7章 珍人文書 戦時下の旅、捕虜写真集、『国会図書館にしかない本』、100万円超某国政治家演説・インタビューセット本、架空出版社目録……
第8章 珍医学書 性病性器、精神科症例、マヌケなケガとその治療法、「マン書」、心電図波形こじつけ命名 ……
第9章 珍エロ本 女装研究、台湾果物売りの妖しい女性写真集、カバーが○毛の女優写真集、妹と風呂に入る方法を解説10ページ本 ……
第10章 珍警察本 職務質問テクニック、不審者対応、公安テロ情報、不動産事故物件、遺体処理 ……
(平野)