■ 『杉山平一詩集 夜學生』 竹林館 2007年12月刊 800円+税 A6判
杉山の第一詩集(1943年、第一芸文社)、1990年銀河書房より復刻。
師の居ない教室のさんざめき
ああ 元気な夜学の少年たちよ
昼間の働きにどんなにか疲れたろうに
ひたすらに勉学にすすむ
その夜更のラッシュアワーのなんと力強いことだ
きみ達より何倍も楽な仕事をしていながら
夜になると酒をくらってほっつき歩く
この僕のごときものを嘲笑え
小さな肩を並べて帰る夜道はこんなに暗いのに
その声音のなんと明るいことだろう
ああ僕は信ずる
きみ達の希望こそかなえらるべきだ
覚えたばかりにの英語読本を
声たからかに暗誦せよ
スプリング ハズ カム
ウインタア イズ オオバア
1935年(昭和10)から「四季」に応募したものをまとめた。
……三好達治氏は当時選者として、私ら未知の青年の作品に対し誌上「燈下言」に於て叱正を賜り、自分はその意味を二年三年のちに感ずるようなにぶいのろいすすみ方で詩を書き、いつまでも戸惑い、そしてそれはついに、詩を書くことによって自らを鍛えるということにはなったように思います。自分のものは技巧に充ちているとみられましょうが、作品はどうでもよくやはり人間の地を鍛えねば、というそのような感懐があるのです。……
戦時中ゆえ、掲載しなかった詩もある。
友人から、お前の詩は電車や汽車ばかりだ、季節や草花を歌えない、と責められ自らも深く恥じたそう。だが、「自分は鉄道が好きだ 若しも詩集を出すとしたら題を鉄道にしようとさえ思う ……」
という詩も。
(平野)
善行堂で購入。
『ほんまに』第16号の案内をまたヨソサマ(同じ人、空犬通信)がしてくださっている。ありがとうございます。
『ほんまに』第16号 くとうてん編集・発行 476円+税
特集 「続 神戸の古本力」 今月末販売開始
「続」としたのは、2006年7月海文堂でのトークイベント「神戸の古本力」(トーク内容に愛好家アンケート、資料を加えて、みずのわ出版から単行本化)を踏まえたからです。
新鋭から中堅、ベテランまで、古本屋さんに今の「神戸の古本力」を語っていただきました。06トークの主役、林哲夫さん、高橋輝次さんに寄稿いただきました。もうひとりのアカヘルは残念ながら“アウト”でした。
詳細はおいおいお知らせします。
前号を販売いただいたお店では続いて置いていただける予定です。