2014年5月7日水曜日

本の手帖 No.81 現代詩

“地下室”と呼べるほど立派ではない地下スペースがあって、本を置いているが、ホコリまみれでかわいそう。ちょいと掃除してたら出てきた本。

 『本の手帖』 No.81 196923月号 特集 現代詩 昭森社 
海と詩を愛した田川憲のみたまに  堀口大學
海の微風  西脇順三郎
逃避・霜夜  田中冬二
きらびやかな死  金子光晴
鐘  壺井繁治
海底の誘惑  北川冬彦
万物  高橋新吉
村野四郎、北園克衛、小野十三郎、草野心平、宗左近、會田綱雄、石原吉郎、黒田三郎、吉岡実、中桐雅夫、関根弘……総勢50名、大岡信、谷川俊太郎、吉増剛造、石垣りん、多田智満子、岸田衿子……
「ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム」の世界  中野嘉一
題字・構成  高橋錦吉
表紙絵・カット  池田満寿夫



 堀口大學 「海と詩を愛した田川憲のみたまに」 
君の短い生涯の ぼくらは長いつきあいだつた。
君は詩を愛し 詩が紹介の役をした。
ランボーが アポリネールが コクトーが 君の詩人たちだつた。
わけても君はこの人たちの 海の詩が好きだつた。
君は海の画家だつた 凪の海 あらしの海の 海の詩情の画家だつた
長崎の海の詩情の 心に波打つ海の詩情の。
僕は君の海を愛した。
それなのに君はもういない。

富士山が遠くかすんで 葉山の海は今日は静だ
長崎の海をしのんで 葉山の海を 君を語ろう
もういない君を語ろう。    一九六八・三・八

 田川憲(19061967)長崎市生まれ、版画家。20歳で上京、恩地孝四郎に師事。長崎の風景を版画に残した。詩人と親交し、堀口の詩に作品を寄せている。

当時同社は本誌と「詩と批評」を刊行していたが、後者のスタッフである清岡卓行の家庭に不幸があり、黒田三郎が健康を害し、刊行を中止せざるを得なくなった。同誌に寄せられた諸作品に新たに20数名の新作を加え、本特集となった。発行人・森谷均も入院中。

……二月一日突如、前手術の延長とも見るべき腸部疾患におそはれ即日もとの日大病院に収容された。爾来、一週間、光明のない朝夕を四角の部屋の中に横へてゐる。いづれ近く再手術を行ふことゝならうが、半年に三度の入院とは余程呪はれた人生らしい。……
平野)
 記憶では、コーべブックスで買ったもの。バックナンバーを常備していたはず。包装紙とブックカバーも出てきた。『季刊湯川』VOL.1もあった。
 しもた~! 2日分アップしてもうた~。これが8日の分です。