2014年8月13日水曜日

播磨の古建築を訪ねて


 磯野進一郎 『播磨の古建築を訪ねて』 海文堂書店 1977年(昭和529月発行

786月第2版発行(著者逝去にともない愛蔵版として再版)
 


 

 海文堂出版ではなく「海文堂書店」が発行・発売。

 著者磯野(19171978)は在野の研究家。「はじめに」より。

 古くから大国であった播磨には数々の文化財がありますが、これらは先人が残してくれた貴重な遺産で、我々世代のものは、これを大切に保存し次代へ引渡す責務があると思います。
 これらの文化財のうち建築物は、木造の構築物であることから火災や損耗のため、創建時の原状がそのまま残っているのは皆無に近く、殆どのものは、それぞれの時機に手を加え、或はその時代の手法や意匠を加味しながら、なお創建時の意図を伝えようとしています。建物には歴代関係者の英知と労苦の積重ねが裏打ちされ、これらを綜合したものが今の姿でありますので、古建築は各時代の文化の性格をその中に包み後世の人々に語りかける歴史の証言者であると思います。……

目次

一、播磨と建築文化財  二、播磨における寺院の開発  三、播磨古建築の時代別概要  四、寺院の伽藍  五、建築様式の変遷  六、各地の寺院  七、神社  八、塔と門  九、城郭  十、民家  付録 播磨古建築所在図、播磨の建築文化財一覧、参考文献

 
「播磨」は広い。現在の行政区画では、東は神戸市垂水区・西区・北区の一部・須磨区の一部、西は岡山県と接する赤穂市・佐用町、北は宍粟市・神河町。瀬戸内海に面する「市」だけでも、明石市、加古川市、高砂市、姫路市、たつの市、相生市、赤穂市とある。
 歴史的にも山陽道の拠点であり、農・漁・山の産物が豊かで、貴族・社寺の荘園、所領が多く、文化も栄えた。製鉄や製塩業も発達した。

 
 海文堂の出版物は、1958年「出版」独立以前は「海文堂書店」発行。本書は分離後の「海文堂書店」発行の本。他には以下の本がある。

朝日新聞神戸支局編『兵庫の素顔』(1977年)
●アート・エイド・神戸『詩集・阪神淡路大震災』1集、2集(1995年)

 小林良宣が手がけた冊子(販売したもの)
『神戸読書手帖』(1978年)
『神戸図書ガイド』『同 追録版』(1980年)
8.15追加
●『「VIKING]の乗船者たち』(1984年)
●『KOBE BOOK SHOP&SPOT GUIDE』(1996年)

(平野)