■ グレゴリ青山 『薄幸日和』 小学館 990円+税
傘を持っていない日に限って 雨が降る
荷物の多い日に限って 信号が赤になるほしかったものが 目の前で売り切れになる
買ったものが 翌日半額になっている
行きたかったお店に行くと 臨時休業……
――私 そんなことがあると
脳内にやさしいメロディが流れるんですう
と、転校してきてすぐにイジメにあった木暮夕子に自己紹介したのは、クラスメイトらしい薄井幸子。存在が薄い。そばにいても誰も彼女のことを意識しない。
幸子は生八ツ橋を一緒に食べようと夕子を誘い、チベットの言い伝え――不運と幸運はバランスがとれている――を教えてくれる。彼女といるとクラスで夕子の存在も薄くなる。「薄くなった」と感じる。
幸子が「五番町」他京都の“薄幸遺産”を案内してくれる。“薄幸美”を発見する。発見できた日を“薄幸日和”と呼ぶ。二人と関わる人がふえ、二人の存在は“存在を気にされない存在”ではなくなっていく。
CONTENTS
謎のクラスメイト 五番町薄幸巡り 薄幸手帖 縁切り神社 幽霊子育飴 鴨川と恋愛 運命の上毛カルタ 薄幸部 かわいいとブス 薄幸カフェ
無視されているのでは?
「世の中には人によって見えたり見えなかったりするものがあるんですよ」
不幸と薄幸の違いは?
「薄幸というのはね 不幸の中に“薄”く存在する“幸”のことなんです(略)私なるべくたくさんの薄幸美に気付きたいんです」
イジメを怖がっていると
「他人を不幸にしたがる人って不幸な人が多いんです 禍いエネルギーが多くて“薄幸美”が少いタイプの不幸です」
自分はタイミングが悪い=不運と思う人
「タイミングが悪いっていうよりタイミングが悪いってことを意識してる人なんですよ」
幸子の正体は?
(平野)