2014年8月7日木曜日

島尾敏雄詩集


 『島尾敏雄詩集』 深夜叢書社 
19871月刊(私のは22刷)

装画 駒井哲郎

 島尾敏雄19171986)、横浜市生まれ。8歳の時、兵庫県西灘村(現神戸市灘区)に転居、12歳神戸市葺合区転居、神戸尋常小学校、県立第一神戸商業、長崎高商。九州帝大繰り上げ卒業し海軍志願。特攻隊指揮官として加計呂麻島で待機のまま敗戦。神戸に復員。神戸外事専門学校(のちの神戸市外大)勤務、「VIKING」同人。55年、妻の故郷奄美大島に転居。

 本書所収の最初の詩は15歳の作品。

「キャンプ」

一、朝早く起きて テントの外は 真白雪だ! 雪だ
いそいそと働く友達 霧が東へ逃げたよ
(以下、四まで)

TOR ROAD

自動車のサイレン 人力車のベル 青い眼の異人さん 横文字の店
そこは海港の街神戸の 異国情緒の噴水 トアロードの坂道でした


曼荼羅詩篇「出陣」より 魚雷艇指揮官になった頃の作品。

夕ぐるゝ木の葉がくれに われらいま出陣
あかねさす浦里かけて 送るらし われら出陣
いのちふくるゝこの夕べはも

[帯] 
追悼・島尾敏雄――その早すぎた戦死を悼みて

生命の淵の深みに降りてゆく島尾文学の魂の原風景〈戦争・夢・少女・病・旅〉を鏡のごとく映しだす、昭和12年から19年にかけて、詩誌『こをろ』『LUNA』『曼荼羅』に発表された形成期の詩品。……


(平野)