■ 筒井康隆 星新一 小松左京 『きつねこあり』 編集・発行:日本SF展☆SFの国 販売:世田谷文学館 500円(税込)
イラストデザイン:YOUCHANSF展会場限定販売のミニブック、おまけのしおり
「きつね」 筒井康隆 初出「NULL」5号(1961年)、底本『にぎやかな未来』(角川文庫)
「ネコ」 星新一 初出「鉄腕アトムクラブ」(1964年9月号、「ネコとカード星人」)、底本『きまぐれロボット』(角川文庫)「アリ」 小松左京 初出「鉄腕アトムクラブ」(1966年10月号)、底本『役に立つハエ』(ハルキ文庫)
三人三様、ショートショート。
○馴染みかけの町へ(1) 石橋毅史
『「本屋」は死なない』(新潮社)の著者。
遠い町に出かける。本屋をまわる。話を聞く。再訪する。
人見知りではないが、誰とでもすぐに打ち解けるほど人懐っこくもない。はじめて会った人の前では言葉が続かず、沈黙の時間が流れることも多い。
だが、この気まずさも大切なのだ。五分後には屈託なく笑いあっているのか、それは次に会う時なのか、何度会ってもこのままなのか、わからない。どうなっていくかは、自分次第、相手次第でもあるが、二人で一緒にサイコロを振ったようなものだ、とも思っている。……
○パリ古本紀行 死骸の値段 林哲夫
6月上旬、パリのサンシュルピス教会広場の古本市。搬入日が狙い目と助言され下見に出かけてみる。
……仕事の邪魔にならないように気を遣いながら観察して歩く。すると小型のガラスケースに入った『UN CADAVRE』第二号(一九三〇)が目にとまった。ブルトンの顔写真が載ったシュルレアリストのパンフレット。値段の表示はなし。……
ブログに書くと、非本の知人から値段の問い合わせがあった。店はベルギーからきた若夫婦。亭主に聞いてみると、
……横からべっぴんの奥さんが「九〇〇ユーロよ」とさらりと答えた。九〇〇ユーロ(約一二六〇〇〇円)とな! これは想定外。「メルシ」と会釈してそそくさ退散。……
先に助言をくれた人の夫君が古本業者。確認してもらうと、750ユーロと言われたそう。それでも高いと夫君は言う。
……べっぴんの奥さんなかなかしたたかなり。……
「カダーヴル」とは死骸のことらしい。
(平野)
祝福その1 恵さん、赤ちゃん誕生おめでとう。
祝福その2 徒然舎・由布さん、新店オープンおめでとう。