■ 『櫻画報大全』 青林堂 1977年7月初版(手持ちは81年2月第2版)
1970年8月から71年3月『朝日ジャーナル』に連載したイラストパロディ。71年3月19日号を朝日が自主回収。ヌード写真表紙が過激と思われたが、赤瀬川のイラストページの言葉「アカイ アカイ アサヒ アサヒ」を上層部が「誤解を招く」と判断。また、雑誌を「包紙」と書いたり、「ドコを乗取ろうかナ?」と他社名を挙げたことも問題視したよう。
同年6月から8月『ガロ』。他の雑誌や大学新聞にも掲載した。
■ 『超科学紙芝居 虚構の神々』 青林堂 1978年10月刊
77年4月から『ガロ』に連載した漫画作品集。表題作他全15篇。
この世の果てがどうなっているのかということは、何と「現代の科学」では説明できない。だけどその果ての向こうにあるあの世からときどき何かがこの世の中にはいり込んできていることを、人類は子供のときからいつも感じつづけて生きている。
この世は一つのものであるようだけど、この世の果てはいくつあるのだろうか。知覚の果て、意識の果て、時間の果て、空間の果て、極大の果て、極小の果て、その他いくつもの果ての向こうには、それぞれのあの世があるのだろうか。それともあの世はやつぱりまとめて一つなのか。そのことを記憶しながら人類は子供となつてこの世に生まれてくるはずなのに、その記憶は人類の成長する言葉と引換えに紛失していつてしまうのだ。その記憶を取り戻そうと、全力を盡して子供になろうとすることは、あるいは無駄なことかもしれないけれど……。(「あとがき」より)
(平野)