◇ 【海】史(10)―1
■ 『月刊・神戸 読書アラカルテ』(1)
1979年12月創刊。B5判、ガリ版+和文タイプ。
第1号、10ページ。
(1)本屋の青たん 新刊書は泣いている 小林良宣
(2)松原好之――この同時代性の魅力 つつみ
たかひこ
(3)久坂葉子のこと 島田誠
(4)「べっかんこ鬼」神戸公演案内 神戸市教組「こんにゃく座」オペラ公演
(5)
海文堂ギャラリー1周年企画展 「ビュッフェのすべて」案内
本屋が大きな声では言わないが、これをしないと立ち行かない日常作業=返品について。
返品する本には3種類ある。
① 入荷して3ヵ月経った新刊。
② 「長期」「常備」など出版社・取次会社と販売期限を約束した本。
③ 返品条件付きの既刊本=入荷したら代金は支払うが返品可能。
新刊でも3ヵ月経たないうちに返品される本が多い。早期返品。
――可愛い子にはずっといて欲しいというのが本当なのですが、世の中ままならず、非情です。書店の店頭で新刊書たちは、「こいつは売れない」と店員に判断されれば三ヵ月も経たないうちに暗い道を東京へ帰っていくのです。――
京都の建築専門出版社が調査した自社の新刊書返品状況レポートを引いている。新刊10点の月別返品数と返品率を公表している。28.3%の本が3ヵ月の委託期限までに返品されている。出版社から見れば、「配本される書店の選択と部数のありかたに大きな原因がある」。
専門書でこの数字だから、一般書はもっと高いはず。店頭の限られたスペースで大量の本の流れと格闘している書店員からすれば、「返品」しなければ本の洪水になってしまう。
――委託制に乗って成長してきたこの業界が、現在委託制の傷口がうずいてうめいているといったところです。――
レポートによる。「A」という本が全国書店2万店(当時)のうち420店に配本された。約3割が早期返品なら、発売後3ヵ月目には全国で300店にしか「A」が並んでいない。売れてしまっている場合もあるだろう。実際はもっと少ない。
――本との邂逅という言葉がありますがその通り“邂逅”というのが現状の本と読者の出合いの姿です。書店の非力、業界の現状を棚にあげても、僕が読者に言いたいのは「一目ぼれした本には必ず手を出せ」ということです。――
私事、現役時代この3ヵ月目の別れは辛い作業だった。「売り上げ」と「在庫量」を自分の“ものさし”(かなりエエカゲンな)で測っていた。私の棚がいつもスカスカで本が倒れそうになっていたのは、この“ものさし”が原因であった。
(2)は「すばる文学賞」作品の書評。
(3)「久坂葉子研究会」発足。関係者たちとの因縁。
『読書アラカルテ』が書店PR誌としてスタートした。
◇ ヨソサマのイベント
■ モトコー寺子屋「陳舜臣的神戸愛――元町界隈を歩き語る」
1/25(土)13:30~ プラネットEartH 050-3716-3540
資料・お茶代 500円 募集定員30名
講師 三輪秀興 辻信一
申し込み FAX 078-366-0756 メール planetearth@nifty.com
ありがとうございます。
トンカさんが購買者にメッセージをもらってくれました。見覚えのあるお名前がち~らほ~ら。重ねて、ありがとう。
(平野)