2014年1月2日木曜日

年頭の誓い&初夢

 

◇  誓いと夢

 『自選 谷川俊太郎詩集』 岩波文庫 より

「年頭の誓い」

禁酒禁煙せぬことを誓う

いやな奴には悪口雑言を浴びせ

きれいな女にはふり返ることを誓う

笑うべき時には大口あけて笑うことを誓う

夕焼はぽかんと眺め
 
人だかりあればのぞきこみ

美談は泣きながら疑うことを誓う

天下国家を空論せぬこと

上手な詩を書くこと

アンケートには答えぬことを誓う

二台目のテレビを買わぬと誓う

宇宙船に乗りたがらぬと誓う

誓いを破って悔いぬことを誓う

よってくだんのごとし


「誓い」は絶対できない。だけど太字部分はOK
 
 
 
 正月二日といえば初夢

 坪田譲治 『新百選 日本むかしばなし』 新潮社 絶版 (私が持っているのは昭和4816刷)より

「初夢と鬼の話」 福島のむかしばなし

 金持ちの主人、正月三が日だけは使用人たちと一緒に食事。2日のこと、主人が「今晩見る夢の話を一分で買う」と言い出す。3日の朝、皆に尋ねるが「夢を見ず朝までぐっすり寝た」。一番下っ端の小僧だけが、「見ましたがお売りできません」。主人、買い値を上げてついに20両、それでも「売れぬ」の返答に立腹。小僧を舟に乗せて海に流す。餅だけやる。小島に漂着、サルに襲われるが餅を投げて逃げる。次は鬼の島で食われそうになる。餅では許してくれず。「初夢の話で勘弁してくれ、20両でも売らなかった話、だが、ただでは教えない」と言うと、鬼は千里万里の車と人の命を助ける針2本を交換条件にする。小僧はまんまと手に入れ車で逃げる。針で長者のお嬢さんふたりの命を助けて両方の家に婿入り、半月ずつ過ごす。両家の間を流れる川に虹のように光る金の橋が架けられた。

――小僧さんの初夢というのは、にじのような金の橋をわたってゆく夢だったそうであります。では、これでおしまい。めでたし、めでたし。――

 

装幀 町春草

(平野)

「晩鮭亭日常」にアカヘルの話が。左上リンクからどうぞ。

 
 元町商店街HP連載「【海】という名の本屋が消えた(2)」、アップされました。左上のリンクを。