◇ 【海】史 (9)―4
■ 『神戸読書アラカルテ』(4)
従業員の寄稿、S生。
清水晏禎(やすよし)。この人について情報が少ない。取次会社から宝文館を経て、海文堂。67年書店部門が「株式会社」になった時に社長就任。73年、島田誠入社に伴い「部長」。【海】専門書時代を支えた“大番頭”。2011年8月逝去。
この時代は一歩引いて、PR業務は小林に任せている感じがする。
第13号で、荒尾親成(旧神戸市立博物館、南蛮美術館館長)が出版した『神戸写真集』について書いている。正確な書名は、『ふるさとの想い出・写真集・明治大正昭和・神戸』(国書刊行会)と思われる。
第16号、「書店24年生の反省――店員は店の顔――」。
――ひと昔前までは、本屋といえば、須磨に宝文館、長田に隆文館、百文館、昌文館、新開地に福井文昌堂、隆司書房、神文館、漢口堂、神戸駅前に丸善、盛文館、元町通に日東館、宝文館、尚二堂、海文堂、大丸前に来て、オールスター書店、灘方面では、宝盛館、南天荘、中央堂、六甲堂、これ以外では阪急百貨店の書籍部が光っていました。デパートでは、そごう、大丸、三越も書籍の扱いはありました。――
執筆当時本屋はどんどんふえて、清水の住む舞子でもバス通り300mの間に4軒できたらしい。
業界は再販問題で、読者の目は厳しい。読者のための店づくりは必至。謙虚に取り組みたい、と語る。
お客さんから、ある本をよその本屋では「品切れ」と言われ、ここでは「未発行」と言われた、どちらを信用すればいいのか、と問い合わせ。清水はお客の前で出版社に電話をして「1ヵ月後の刊行」と確認を取った。洪水のような新刊や店頭での雑務に追われて、お客に「軽率な回答」をしたり、「事なかれ主義的な事件を誘発」している。このことを小事と流さず、情報の提供、探しやすい配置、相談できる書店員養成、親しみやすい店など、「小さな努力を積んでいきたい」と結ぶ。
第22号では「文学全集のこと」。
問屋時代のこと(28年ほど前)。戦後初の全集『昭和文学全集』が角川書店から刊行された。第1回「横光利一」、2回「山本有三」、3回「寺田寅彦」と続いた。本屋店頭は品切れ続出で注文が殺到。以後、河出、新潮社、筑摩と全集が出て、「確固たる読書界の基盤復活をみた」と角川書店の功績を称える。
寄稿時はオイルショック後の不景気で文学全集が売れる時代ではない。しかし、ひと昔前と比べると、「きらびやかな表紙装幀の本がどんどん刊行され読者諸氏にとって、お気の向くまま作品をお手にとれるという良き読書時代と云えるのでは……」
すぐあとに文学全集の紹介とローンの案内。
第27号で釣りエッセイ、36号で地元作家の新刊書評と続く。
◇ 『ほんまに』第15号、取り扱い店舗がふえました。
東京千駄木・往来堂書店、京都・恵文社一乗寺店。ありがとうございます。
【神戸市中央区】
ギャラリー島田 078-262-8058
ジュンク堂書店三宮店 078-392-1001
トンカ書店 078-333-4720
【神戸市灘区】
ワールドエンズ・ガーデン 078-779-9389
ブックス・カルボ 078—955-8442
【尼崎】
街の草 06-6418-3511
【大阪】
紀伊國屋書店梅田店 06-6372-5821
MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店 06-6292-7383
【三島郡島本町】
長谷川書店 075-961-1560
【京都】
恵文社一乗寺店 075-711-5919
古書 善行堂 075-771-0061
【名古屋】
七五書店 052-835-0464
ちくさ正文館 052-741-1137
【岐阜】
徒然舎 058-337-0444
【東京】
NR出版会事務局 03-5689-3886
往来堂書店 03-5685-0807
トマソン社 通販 http://tomasonsha.com/
リブロ池袋本店 03-5949-2910
(平野)