■ 田井玲子 『外国人居留地と神戸 神戸開港150年によせて』 神戸新聞総合出版センター 2800円+税
2018年に開港150年を迎える。
著者は神戸市立博物館学芸員。
第1章 外国人居留地の歴史 居留地の成立 条約改正と居留地返還
第2章 神戸外国人居留地 開港 居留地の街づくり 居留地のしくみ 景観
第3章 雑居地 異人館 トアロード 南京町 トルコ軍艦遭難と神戸
第4章 神戸の外国人たち 外国人社会のあらまし 社交クラブ ホテル 墓地 イギリス人グルームとドイツ人デラカンプ 少年たちの日独交流
第5章 スポーツと娯楽・くらし 神戸での近代スポーツ 六甲山をめぐるスポーツと娯楽 有馬温泉 くらし(洋装、食べもの、飲料、映画、水族館、自動車)
第6章 文化と情報 新聞と出版 写真 自然科学
第7章 港と街と農村の施設 鉄道 港と気象観測 金星観測 灯台 運河 上水道
第8章 神戸港貿易と産業
第9章 神戸外国人居留地内商館等の変遷
第10章 旧居留地歴史散歩
慶応3年4月13日(1867年5月16日、太陽暦採用前で西暦と日本の月日は一致しない)、幕府と各国との間で外国人居留地の取り決めが結ばれた。
兵庫は、東西=生田川(現フラワーロード)から鯉川、南北=西国街道から海岸にかけて。造成は倒幕戦争で中断。慶応4年閏4月(68.6月)島屋久次郎が工事を請け負った。神戸村他付近の村人が動員された。
基本設計はイギリス人土木技師J・W・ハート。道路は南北に8条、東西5条。126区画に敷地割り。西端にパブリック・ガーデン、海岸に沿ってプロムナード、生田川堤防跡にレクレーション・グラウンド(現東遊園地)が設けられた。護岸工事、海岸の埋め立て、歩道・車道区分、街灯、下水道、防火対策など、後代の土木工事・都市計画の見本となった。
他に、外国人たちの暮らしや文化が、神戸の街・市民に大きな影響を及ぼしたことは目次だけでもわかる。
表紙の写真が海岸通のプロムナード。日下部金兵衛撮影、1885年頃。
(平野)