◇ 【海】史(10)―4
■ 『月刊・神戸 読書アラカルテ』(4)
寄稿者のなかに「佐高信」の名ある。まだ総会屋系経済誌編集者時代でしょう。著書は何冊か出している。
第6号 「極上の友」
第9号 「極上の友 2」
第12号 「ある祝辞の『参考文献』」
第16号 「淋しい花のさびしさ」
「極上の友」とは「おいしい本」を教えてくれる人。阪神間に関わりのある人を挙げる。
そのひとりが植村達男。
――植村さんは私より4つしか年上でないのに、その文章には老成した感じがあって私を落ちつかせる。――
植村が推薦する本を読み、互いに貸し借りする仲。
ふたりめは某企業重役でかなり年上だが、あえて「友」と呼ぶ。歌人でもある。
この平和虚構というか戦いに還らぬ学友(とも)らの澄みし瞳(め)に問う 菅野勇
他に大学の先生、経済研究者。
結婚式の祝辞の参考に江戸の都々逸、俳句を。艶っぽく刺激が強いかもしれない、と言いながら。
○わたしの人ではないひとなれど よそのひとにもしたくない
○梅にうぐいす あたしにあなた きょうもあしたも春げしき
…… 原残華『都々逸読本』芳賀書店
○さりげなく交す瞳に秘めるもの
○人目には幸せそうでないやつれ
…… 岡田甫編『現代春句』芳賀書店
美しい花のそばに咲いた花は淋しい思いをしても、
――淋しさは、いつか、その花に、ある美しさを与えるかもしれない。――
決して「辛口」だけの評論家じゃない。
(平野)