◇ 新年は、死んだ人をしのぶために~
■ 『会社の人事 中桐雅夫詩集』 晶文社 (1979年刊 絶版)より
きのうはあすに
新年は、死んだ人をしのぶためにある、
心の優しいものが先に死ぬのはなぜか、
おのれだけが生き残っているのはなぜかと問うためだ、
でなければ、どうして朝から酒を飲んでいられる?
人をしのんでいると、独り言が独り言でなくなる、
きょうはきのうに、きのうはあすになる、
どんな小さなものでも、眼の前のものを愛したくなる、
でなければ、どうしてこの一年を生きてゆける?