■ 小佐田定雄[編] 『青春の上方落語』 NHK出版新書 820円+税
現在、上方落語界には240人余の落語家さんがいる。50年ほど前は20人くらいだったそう。
戦前から戦後の看板師匠たちが相次いで亡くなり、その後を4人の若手――のちに上方四天王と呼ばれる――が、必死に守り、噺を掘り起こし、後世につなごうと努めた。
本書では、四天王の弟子・孫弟子にあたる6人が、それぞれの修業時代を語る。
第二章
「古典には知恵と工夫が入ってる、崩したらアカン」 桂南光
第三章
「落語はコミュ二ケーション中心にできている」 桂文珍
第四章
「一時間叱られっぱなし、すごい稽古でしたわ」 桂ざこば
第五章
「落語は額縁芸能、決まった型の中で掘り下げる」 桂福團治
第六章
「技術ではない、人間の持っているものが伝わるんや」 笑福亭仁鶴
上方落語には、「前座」「二つ目」「真打」の身分制度はない。明治時代にはあったが、上方の寄席興行は落語中心でなくなり、落語家の人数が少なくなったことによる。
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落語家の修業というと落語を稽古するだけではない。高座を支える寄席囃子の演奏というのも大切な仕事である。ことに、落語の途中に「ハメモノ」と呼ばれる囃子が当たり前のように入る上方落語では、下座囃子の修業は若手の必須科目と言っていい。……――
三味線は専門の「お囃子さん」がいるが、太鼓、笛などは落語家が担当する。落語自体が“絶滅寸前”だったので、お囃子も後継者がいなくなりそうだった。現在は増えてきている。
私論を述べさせていただくなら、古い時代の上方落語は終戦直後にいったん滅んだのだと思う。その後、米朝をはじめとする四天王の世代が、戦後の時代にぴったりの新しい芸能として蘇らせたのではなかろうか。
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その「芸」を受け継ぐ人気落語家たちの失敗、師匠とのこと、「芸」の話、数々。
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(平野)