◇ 【海】史 番外(5)
■ 読者新聞投稿
F店長から、彼が退職後整理した【海】資料を預かった。目にしなかった新聞記事がいくつもある。読者投稿も丁寧に拾ってくれている。
「神戸新聞」2013年11月13日〈俳句〉 選者:わたなべじゅんこ
銅鑼鳴らし書舗の閉店後の月 神戸市 川谷さん
「神戸新聞」2013年11月18日〈詩〉 選者:安水稔和
「舵のある本屋」 神戸市 宇貞さん
幼い頃 今は亡き父が
その店で選んでくれたのはメアリーポピンズの本だった
並んだ児童書の背表紙を
指でなぞっていた父は
これがいいと
迷わずその本を抜き取った
日本よりも欧米で人気の
その本を選んだのは
海外で多くの仕事をしていた
父ならではの選択だったのだろう
閉店する前に
階段の踊り場の舵をもう一度触りに行った
父の見た
広い広い海の向こうの世界に
思いが飛んだ
――「舵のある本屋」の、階段の踊り場の舵。私もよく通った海文堂、今はない。――(安水)
投稿してくださった方々、選者の皆さん、ありがとうございます。
(平野)